Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

サイバー空間の巨大さを考えて!

 米国司法省が全米11州と連携の上、Googleを提訴した。容疑は独占禁止法違反、検索サービスの独占的(シェア90%以上)を利用して、自社サービスを優遇するような契約をスマートフォンメーカーなどと結んだというのがその理由。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65250910Q0A021C2MM8000/

 

 デジタル業界は寡占化が起きやすく、20年前はMicrosoftが同様な提訴を受けている。裁判の行方は不透明で、Googleが有罪となるか無罪となるか、あるいは和解が成立するかは分からない。いずれにせよ、決着まで数年はかかるだろう。デジタル業界の変化のスピードを考えると、「検索サービスの優位性など意味がなくなったから和解しましょう」という結末も無いとは言えない。

 

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 なぜ今提訴なのかというと、米国大統領選挙が近いことをこの記事は理由に挙げている。ドランプ陣営は巨大ITが自陣営に不利なこと(検閲)をしているとして敵視していて、これを忖度した司法省が「やってる感」で提訴した可能性を示唆している。デジタル産業は一般に「反トランプ」だが、検閲されるようなウソ投稿を並べるトランプ先生の側に非があるように、僕は思う。

 

 原点に立ち返り、デジタル業界でなぜ寡占化が起きやすいかと言うと、サイバー空間のが一般の人が考えるより数桁大きいからだ。Googleは確かに検索サービスでは半独占状態。しかしGoogleのサービスはほかにも一杯ある。例えばビデオ会議ツールMeetは、僕などは使いやすいと思うのだが、利用者数ではZoomに到底敵わない。

 

 基幹サービスのひとつではあるが、検索サービスは無限に近くあるサービス・ツールのひとつでしかない。サイバー空間は「自社の得意なモノ」が集まって成り立っているセルの集まりのようなものだ。ひとつのセルでは寡占が起きやすいが、全体としてみれば全部をGoogle等が仕切るようなことには成り得ない。

 

 欧州委員会(特にフランス)は、巨大ITを狙い撃ちにするデジタル課税を導入しようとしているし、米国では提訴・・・いずれも成功者に対する「嫉妬心的な懲罰」に見えてしまう。困ったものだと思っていたら、日本の公正取引委員会委員長まで「巨大ITを欧米と連携して厳しく監視」などと言っている。発想を転換してもらわないといけないのですが・・・。