イタリアという国は、ローマ帝国という輝ける過去を持っていながら国としてのまとまりは弱い。第二次世界大戦でもヒトラーが学んだという独裁者ムッソリーニを擁してさえ、たやすく連合軍に屈した。地方の独立意識が強く、GDPや人口はそこそこあるのに欧州連合の中での発言力も高くない。政局は混乱続きスーパーの釣り銭ごまかしなどは当たり前と、上から下まで困ったちゃんである。
それでもこの国に僕らが魅力を感じるのは「食の文化」。それは食材や料理法にとどまらない。種々の什器も、独特のアイデアが盛り込まれている。もう5年以上前になるだろうか、「クイジナート」という調理器具をビックカメラで購入した。元はイタリア製の、卓上焼き肉機である。
ただの鉄板ではなく、上下の鉄板で「はさみ焼き」ができるのが特徴。以前広島に旅行した時に、溶岩の板ではさんで肉を焼く店があって、その美味しさに驚いた記憶がある。それを自宅で出来そうだと、勇んで買ってきた。
写真は凹凸のついた上下2枚の鉄板で、厚切りの豚ロース肉を焼いているところ。このように上下から熱するので、厚い肉でも直に火が通るし、裏返す必要がない。画面下に3つのダイヤルがあって、温度調節・電源on/off・鉄板のモードが選べる。モードによって挟むだけではなく、下の鉄板だけで焼くこともできるのだ。
上下の鉄板を水平にすれば、大きな面での焼き物ができる。鉄板を裏返せば、普通の平らな焼き面になるリバーシブル仕様である。この機種の優れたところは、鉄板だけではない。写真のアルミホイルの向こう側には、焼き物で出た脂を落す切れ込みがあって、脂を貯める容器につながっている。
ソウルでサムギョプサルという焼き肉を食べると、鉄板の片側から脂分が壺に流れていく。これは旨味が凝縮されたところなので、他の料理に使いまわすわけだ。それと同じことが、自宅で出来るというのは凄いことだ。
下の写真は、当家のベランダに置いたアウトドア用テーブルの中央部にぴったり収まっている「クイジナート」。結構コンパクトにまとまって、「昼呑み」には格好なシチュエーションである。大部使い込んだのですが、まだ壊れてもらっては困ります。大事に使いますから、頑張ってね。