Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

官僚たちの「ジョブ型雇用」

 安倍内閣が、経産省の官僚を重用したことは確からしい。それが安倍総理の意向なのか、霞ヶ関を抑えていた菅官房長官の意向なのかは分からない。総理側近にいる経産省出身の補佐官等が政策課題を素早く解決するには、勝手知ったる出身官庁を使うのが便利に決まっている。

 

https://news.livedoor.com/article/detail/18876095/

 

 この記事に言うように、最強官庁財務省の範疇になりかねないキャッシュレスのポイント還元事業など、うまく理屈をつけて経産省で処理できるようにした。現役の霞ヶ関の人によると、「現場重視の現業官庁に比べ、経産省の人は頭がいい。すごいアイデアを持ってくる」という。他の官庁より頭がいいとは言えないにしても、現業官庁の視点よりちょっとナナメ上から見ることができるので、新しいアイデアは湧きやすいと思う。

 

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 ただ内閣に多くの人材を送れたのは、経産省官僚自身が経産省に見切りをつけているからで、官僚自身が「外に出たがる」というこの記事の記述には賛同できない。他の官庁に比べて若いうちに辞めていく人が多いということも聞いたが、それは省に見切りをつけたからとは言えない。もともと、若いうちに転身した経産省OBは多い。

 

 「村上ファンド」で一杯儲けた方は別格としても、大学教授や外資系企業の役員、ベンチャーの経営者など、省内で一応の地歩を築いた後民間に出たのではない人を、僕も多く知っている。日銀の友人がその傾向について、「社会の事をよく知り、自分の将来を真剣にかつ自由に考える傾向が強い」と同省の人を評していた。

 

 そんな人が官庁を選ぶとき経産省に傾くのは、比較的若いうちから企業TOPに直接会える勉強の機会が得やすいからだろう。例えばこの記事に写真の出ている新原局長、20年近く前最初に会った時は「IT書面一括法」を剛腕でまとめたばかりの課長だった。その後多くの企業TOPにインタビューし、これからの企業経営についての著書を出版していたと思う。

 

 どの官庁でもそんな機会はあるが、業界が限定されどうしても視点が狭くなる。自ら将来の「ジョブ型雇用」を生み出しやすいのが、経産省の利点だと思う。霞ヶ関も普通は「メンバーシップ型雇用」、そこで自由を求めると実力をつけて独歩行ができないといけない。それが可能な官庁だから若くして民間に出る傾向があるのだと、僕は思いますね。