Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

十字街の操車塔

 今は2系統(谷地頭~十字街~湯の川)と5系統(函館どっく前~十字街~湯の川)の二系統しかなくなってしまった函館市電網だが、往時は合計12系統もあったようだ。

 

[1系統] 五稜郭駅前-(五稜郭公園前、栄町経由)-弁天
[2系統] 柏木町-(松風町、函館駅前経由)-谷地頭
[3系統] 湯の川-(ガス会社前経由)-十字街
[4系統] 五稜郭駅前-(万代町経由)-弁天
[5系統] 湯の川-(松風町、函館駅前経由)-末広町
[6系統(臨時)] 柏木町-(松風町、函館駅前経由)-弁天
[7系統(夜間)] 柏木町-(ガス会社前経由)-弁天
[8系統(夜間)] 湯の川-(松風町経由)-函館駅
[9系統(臨時)] 柏木町-(松風町、函館駅前経由)-末広町
[10系統(臨時)] 柏木町-(ガス会社前経由)-末広町
[11系統(夜間)] 柏木町-(新川町、栄町経由)-弁天
[12系統(夜間)] 函館駅前-(万代町経由)-五稜郭駅

 

 1966年までは以上の系統があって、JR五稜郭駅まで伸びる路線があった。なお「弁天」は現在の「函館どっく前」のことだ。以後マイカーの普及によって、路上の「障害物」にも見える市電は冷遇されることになる。

 

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 今でも交差点には市電専用の信号機があるなど、慣れないドライバーには「困ったちゃん」であることは確かだ。とはいえ運行履歴100年を優に超えている函館市電には、ユニークな設備や運用ノウハウも豊富に残っている。その一つが十字街の交差点にある「操車塔」、今も残る二つの系統の電車の行く先を切り替えた重要な設備であった。

 

 十字街の交差点は函館駅方面からくると「Y」字型に見える。右へ行くのは5系統、左へ行くのは2系統の電車だ。この路線の切り替えを、かつてはこの塔の上に常駐していた係員が手動で行っていたという。今は切り替え作業は全自動になっていてこの塔は使われていないのだが、塔そのものは遺構として保存してある。上ることは禁じられている・・・残念。

 

 古いものと新しいものが混在しているのは観光地の故なのでしょうが、鉄道というとどうしても古いものの方に興味が偏ってしまいますね。ごめんなさい。