Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

研究者とコンサルタント

 まだ技術の世界で生きていたころ、研究開発部門とのつきあいは比較的多かった。最初は自分もそうだったので仕方ないとは思うのだが、こんなすごいことができるということばかり言って来る。研究開発を管理する部署からの依頼で研究の評価をしたこともあるが、空いた口がふさがらないようなものもままある。

 あるセキュリティの技術なのだが「絶対破られない」という。最悪破られても全部壊れてしまう(耐タンパーという)ので、中身は知られることがない。まあそれはわかるのだが、これだけ厳重な鍵をかけることを求められる機関とか分野ってどこだろうと思って聞いてみた。すると「ペンタゴンの現状技術より強固です」とのこと。

 おーい。ペンタゴン以上のセキュリティ性を要求する機関ってどこだよ。何件売れるんだー。

 まだ20歳代のころ、優れた技術者の先輩が同じ部署にいた。ここにも新しい研究テーマが時々持ち込まれる。体よく追い返していたが、そのスマートな言い回しは参考になった。さて、研究者が帰っていくと彼が、

 「研究所にやってもらうことは、吟味しなければいけない。まあ、自分(事業部門)でも時間をかければできることを、相手の技量をみながらまずここまで、と線を引いてやらせる。うまくいけば、もう少し線をあげてやってもいい」

 と言って薄笑いをした。

 時が経って技術ならぬ奇術の世界に片足を突っ込むようになると、コンサルタントという人種と付き合うことが増えてきた。国際情勢、他社動向、技術動向、市場の声・・・豊富な資料でケムに巻いてくる。ん?この匂い、どこかで嗅いだぞ。
 

    f:id:nicky-akira:20190504100352j:plain


 これは、研究者と似たようなところがあると感じた。そこで、コンサルの上前をはねるくらいに抜け目の無い連中に聞いてみた。答えは非常に簡単。

 「丸投げしたらダメですよ。奴ら、クライアント見るのは慣れてるからね。我々でもできることを、時間を節約したり上層部を納得させるために使うのがベストです。クライアントがわからないから依頼してきたと思われたら、カモにされます」
 
 一見対極にいるような研究者とコンサルタントって、ほぼ同種の生命体ということを納得した。