アナログ社会からデジタル社会への変革・・・昔から必要だと言われてきたことだが、今回の「COVID-19」騒ぎでその必要性は多くの人の心に届いたと思う。あまりコンピューターやインターネットに詳しくない経営者の人も「それなら一丁、ウチもやるか」と腰を上げていただけることを期待している。
ただいろいろな人から話を聞くと、ちょっとおかしなことも起きているようだ。テレワークを例にとってみると、
・勤務時間を守れと、リモートPCの電源を900-1700しか入らないようにした。
・リモートPCに、タイムカードのアプリを入れようとした。
・テレワークで朝礼、夕礼を行っている。
・部内会議を、従来通りの時間に従来通りのメンバーで実施。
・報告書も従来通りのルートで承認、課長印なども映像で作った。
という具合。中には(重要な議論・意思決定の場である)タバコ部屋を、ビデオ会議アプリで作ったという話も聞いた。これらはすべてリアル空間でのプロセスをそのままサイバー空間に持ち込もうとした結果である。
僕はこれらの例は、アナログ社会からデジタル社会に移行したつもりで、実は「えせデジタル社会」の罠につかまってしまったのではないかと思った。タイムカードとは、リアル空間で「出社することが仕事」だったから意味のあるシステムだった。本来自由な時間の使い方ができるのがサイバー空間でのメリット。朝礼・夕礼なども含めて、これを活かしていないのではデジタル社会になったとは言いづらい。
リアル空間だから必要だったものもある。報告書の「承認印」というのもそのひとつ。組織として承認されたことを示すために、リアル空間の紙の上では重要だったプロセスだが、本当にサイバー空間でも必要なのか・・・よく考えてみる必要があろう。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020062501009&g=pol
そんなことを思っていたら、例の自民党「ハンコ議連」がハンコ制度を継続する要望書を党本部に提出したと聞いた。押印がなくても契約書は有効とした経産省の「押印Q&A」に対抗した形。うーん、しぶといね。さらに「印鑑登録のオンライン化」も推進しろとある。おいおい、こういうのをまさに「えせデジタル社会」というのですよ。