Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

鉄道の路線毎の収益管理

 先週、JR九州が一昨年度(2019年3月期)の赤字路線17線区について、赤字額を発表した。一日の利用者が2,000人を下回る路線についての赤字額合計は、56億円ということになる。数日前には、災害で3年前に不通になった日田彦山線の一部について復旧断念という報道もあった。過疎の町を巡る公共交通の廃止について、「(町の)命を奪われたような」とする意見もあった。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59641070X20C20A5LX0000/

 

 旧国鉄が新線開発を続け、毎年総延長キロ数が伸びていた時代はずっと以前に終わり、僕が鉄道に興味を持ったころには赤字路線廃止論が巻き起こっていた。国鉄の分割民営化で一気に路線は減りしばらくは小康状態だったのだが、また廃線ブームが来そうな気がする。

 

 ただこの赤字額、どうやって計算したかには疑問の余地がある。各路線に関わる支出はなんとか計算できたとしても、収入の多くを占める旅客収入・貨物収入をどうやって各路線に配分するかが難しい。鉄道はあくまで「網」なので、O-D(Origin to Distnation)情報だけではどの路線が使われたかは分からないのだ。

 

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 国鉄のころから「営業係数」というものが利用されていた。簡単にいうとその路線の駅の売り上げを駅の支出で割ったもの。この場合その駅がどの路線に属するかは、よりい太い(重要な)路線とする方式だ。例えば熱海駅東海道新幹線の駅としてカウントされる。熱海駅東海道線経由東京行きの切符を買った場合は、売上は新幹線側に付く。学生のころ「新幹線を赤字にしよう」とアホなことを言い出し、名古屋発東京行きの新幹線切符をわざわざ隣の金山駅で買った。この売り上げは中央本線のものになる。

 

 40余年前から、この「営業係数」の計算方法は変わっていないようだ。当時は無理だったことだが、切符の自販機も改札口も全部ネットワーク化されている。乗客の人数だって(個人を特定しないでも)カメラ映像から自動抽出できる。合意してくれた乗客からは、スマホの位置情報も提供してもらえるかもしれない。

 

 これらの工夫をして、本当にこの路線の利用者&利用料はどうなっているのかを計算できないものだろうか?鉄道会社の経営の見える化手法として、データ活用の余地はありませんかね?