Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

漏れ聞くテレワーク事情

 緊急事態宣言は終了したものの、テレワークをすぐ通常勤務に切り替える or 切り替えられるわけではない。先端的な企業、例えば外資系IT企業などは、「これでほとんどうまくいくじゃないか」と気づいてしまって、山手線内のオフィスを引き払ったり縮小したりしようとしているくらいだ。

 

 今日コメントしたいのは、そんな先端企業ばかりではないということ。そもそもエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちは、テレワークそのものが難しい。テレワークできる人とそうでない人で、新しい格差社会が生まれたという研究者もいる。テレワークができるだろうと傍目では思っても、できないと思い込んでいる人もいる。個人ではスマホは持っているが、PCはないから難しいという人もいる。

 

 テレワークをしているという会社でも、詳しく聞くと妙なことが起きているケースもある。労務管理をちゃんとしたいという会社では、タイムカードシステムが使えないことから、部署ごとに「テレワーク朝礼/夕礼」をして点呼しているという。逆に「ダラダラ残業」を撲滅したいという会社では、支給されたPCが900-1700にしか電源が入らない仕組みにしたという話も聞いた。

 

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 これらの話はテレワークの本質を外れていて、従来型の管理をインターネット上でそのまま実現しようという誤ったアプローチだ。これではとても、DX(Digital Transformation)とは言えない。古いことわざで「鵜の真似をする烏」という。

 

 もちろんPC環境、高速インターネット環境を十分整えられないケースもある。霞ヶ関のある府省では、十分な環境を整えられない中で出勤者を半減させているので多忙を極め、予算編成などが遅延しているともいう。ある府省の人に週明けメールを返信したら自動応答で、「月曜日・金曜日はテレワークですが、環境が不十分なためリプライが遅くなることがあります。お急ぎの方は、下記までお電話ください」と返ってきた。今年度予算の予備費を使ってでも、環境整備は急いでほしいのだが・・・。

 

 テレワークによって個人PCやスマホ利用、あるいは禁じられていたUSBでのデータ渡しなどが黙認されるケースもあるらしい。表のテレワーク機能は整備できても、セキュリテイ運用まで考えると、やるべきことはまだ沢山ありそうですね。