次世代通信規格(5G)を巡る米中対立は、ますますヒートアップしている。Huaweiに代表される中国企業は、現時点で技術力に加え圧倒的な価格競争力を持っている。これらを自国から排除すべきだとする米国、重要インフラ以外では使ってもいいだろうとする英国など欧米各国のスタンスは一様ではない。
強硬姿勢の米国は、具体的なアクションとして5Gセキュリティ関連の法案を続々成立させている。内容は周波数割り当てのような現実的なものから、外国企業の行動制限5Gの次(!)の6G時代をにらんだ中長期戦略方針まである。
- Reducing Foreign Influence in 5G Act, 2019/7
- 5G Spectrum Act of 2019, 2019/11
- Promoting U.S. Leadership in 5G Act, 2020/1
- Secure 5G and Beyond Act of 2020, 2020/3
特に外国企業の影響力を排除するためには、企業を選別しなくてはいけない。どうするのかと思っていたら、企業自体の信頼性評価をする基準を決めようといい始めた。国務省の要請を受けて基準づくりをしたのが、米国シンクタンクCSIS(Center for Strategic & International Studies) である。ワシントンDCに本拠を構える高名なシンクタンクで、僕自身も訪れたことがある。CSISが今回発表したサプライヤ信頼性評価基準とは、
◆基準31項目の構成
政治・統治(10)
プラス要素:民主制、法の支配、個人情報保護の姿勢、国家間協力関係等
マイナス要素:企業への協力強制、略奪的貿易慣行等
事業慣行(7)
プラス要素:オーナーシップ構造が透明、評価可能性等
マイナス要素:オーナーシップ不透明、非合理的インセンティブの恩恵等
サイバーリスク(10)
第三者評価済みインフラ技術、オープンスタンダードに基づく設計、
脆弱性への対応、部品提供元への監督等
政府のアクション(4)
サプラヤ評価手段確立、単一ベンダ依存回避等