Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

これが本当の「司法制度改革」

 法廷ものミステリーの影響ではあるが、高校生の時一度は考えた法学部から刑事弁護士への道。大学生になってみると「刑事弁護士、特に国選弁護士で食えるはずがない」と法学部の学生が言うなど、少しずつその実態が分かってきた。

 

 一方人数の多い工学部の学生は、「工学士です」では食えなくて、「xxができる工学士/修士です」にならないといけないと僕は考え、無理やり大学院にもぐりこんだ。法学部はその先に国家資格としての「弁護士」があるので、それを取ればヒダリウチワだろうと思っていた。

 

 しかし司法試験が難しすぎるとの批判からか、ある時「弁護士」へのハードルが下がった。その結果だろうが、弁護士資格だけでは食えない人も出てきたと聞く。ちょうどそのころは「消費者金融の過払い金還付」が多く、経験の薄い弁護士でも仕事になっていたから良かった。しかしこの騒ぎが終ると、苦しくなった弁護事務所も出たと聞く。

 

 司法に携わる人を増やそうとした「司法制度改革」だったが、それで司法全体の効率化や高度化ができたとは思えない。僕は門外漢なので高度化へのアドバイスはできないが、効率化の方なら申し上げたいことがある。

 

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 何しろデジタル化が一番と言っていいほど遅れているのが「法曹界」、それでいながらデータ(判例ともいう)重視なのがこの業界だ。であれば、法令・施行令・施行規則や判例などをデジタル化してデータベースにし、多くの機関や関係者がアクセスできるようにするのが、最初にやるべきこと。

 

 あとはこれを活用して様々な検討を行い、それもある種の知識ベースとして蓄えることで広範な再利用が可能になるはずだ。そう思っていたら、「ODR(Online Dispute Resolution、オンラインでの紛争解決)」の拡大を目指す、政府主催の「ODR活性化検討会」が昨年度の検討結果を公表したという記事があった。

 

https://www.bengo4.com/c_1018/n_11153/

 

 なるほど民間同士の賠償訴訟などなら、スピードが重視されるからAIを活用してさっさと決着させるのは意味があろう。この記事では、前例に乏しい・高額な賠償を争う・多数の関係者が絡むものが不得手だとあるが、そうとも限るまい。

 

 すでに囲碁の業界では、AI同士がすごいスピードで争い自動的に強くなっています。法曹界もAI活用で本当の「司法制度改革」ができるかも。