「COVID-19」対策として政府が戦略的な判断の相当部分を依存しているのが「専門家会議」。感染症対策の専門家が集まっていて、その意見はもちろん傾聴に値する。ただ、全国的な自粛要請など強力な施策を提案をするにあたっては、
「コロナでの死者と経済悪化による犠牲者」
のバランスを計らなくてはいけないのは言うまでもない。また能力を超えた財政出動をして国債の暴落や極度のインフレーションを招くことの無いようにしなくてはいけないし、「COVID-19」終息後の財政再建(要するに増税)も考慮する必要がある。
だから専門家会議に経済・財政の専門家も入れないとおかしいなと僕も思っていた。このまま彼らの言うなりに経済を「自粛」させ続ければ、失業者や自殺者など困ったことが多発しそうだから。また専門家会議が「新しい生活様式」を提案するなら、それこそ経済や文化など広範な専門家が必要ではないか。
ところが「緊急事態宣言延長」の日、専門家会議の尾身副座長は政府に経済面からの会議体設置を要請たという。専門家会議の中にではなく横に設置し、バランスは政治レベルでやってねということだろう。
https://www.sankei.com/politics/news/200505/plt2005050001-n1.html
それなら政府には「経済財政諮問会議」という安倍総理自身が座長を務めるものがあって、麻生大臣・西村大臣・日銀総裁のほか産業界の大物も参加している。これが大仰すぎると言うなら下部に2つの専門調査会がある。
・経済社会・科学技術イノベーション活性化委員会
・経済・財政一体改革推進委員会
そのどちらが行ったのか分からないが、「新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリング」も3月までに7回開催済みである。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/keizaieikyou/index.html
それなのに、(感染症)専門家会議の報道は一杯あるが、こちらの報道は見たことがない。その2つを合わせて政府の方針を決めているよという姿勢も見られない。専門家会議はあくまで諮問機関、政策決定責任は政府にある。今の雰囲気だと「自粛要請の責任は専門家会議にあり」となりかねないのを恐れた尾身副座長の要請発信だったのかもしれません。