Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

経済政策と社会保障政策(前編)

 困窮している世帯に30万円を支給するはずだったが、急に(困っているのは皆だから)国民全員に10万円を支給するということになった。もともと多くの人が「国民の分断を招くからこの際一律に」と言っていたのを、政府が聞き入れなかった話だ。

 

 しかし「どうも選挙などに分が悪い」と思ったのだろう、自民党二階幹事長がこの案を口にするや、風向きが変わってきた。もともと与党の中でも公明党は「一律」に賛成。結局30万円のほうをチャラにして、10万円一律に組み替える異例の事態になった。

 

 先進各国が個人への支給を始めていて、ドイツなどは申請から2~3日で振り込まれるというし、米国でも一人当たり1,200ドルの支給が始まっている。西村大臣は日本も「雇用調整助成金」で結果として個人にお金が渡ると抗弁しているのだが、政府の説明の仕方も分かりにくく、現実に給付されたのがまだ数件しかなく、糾弾するメディア等の威勢がいいものだから防戦一方だ。

 

 上記の「10万円一律案」は、もし「雇用調整助成金」で個人への保障を賄えるなら必要ないし、賄えないから検討するというならいままでウソをついていたと認めるようなもの。この期に及んで、ブレたのは最悪だと僕は思う。「雇用調整助成金」の手続き簡素化などすると言っているのだから、いかに早くお金が雇用不安で困っている人に渡るかの方法を考えるべきだった。

 

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 しかし改めて考えてみると、これって経済政策なのか社会保障政策なのか判断が難しい。識者によると欧米で今支給され始めているお金は、社会保障政策らしい。しかるに日本では担当大臣は「経済再生担当相」、それなら経済政策だ。雇用を守った企業に対して、

 

・大企業 助成率75%(通常67%)

・中小企業 助成率90%(通常75%)

 

 で給与を国から補填するというのが、雇用調整助成金制度。利用する企業経営者に採否の判断はゆだねられるので、これはやはり経済政策に見える。経営判断で廃業してしまった場合、政府からお金を出してあげようにも手段がない。

 

 しかしメディアや野党(時には与党)も、困っている人に渡すお金ということで社会保障政策と思っているようだ。僕らの仲間でも議論していて「経済政策」という人は僕を含めて少数、多くは「社会保障政策」として進めるべきことという。

 

<続く>