Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

噴き出した「Zoom」非難

 テレワークに切り替えろ、人に会うのを8割減らせと号令がかかり、TVニュースでもオンライン授業やテレビ会議の例が続々紹介され、「ならやってみようか」という人も多いのではないだろうか?家電量販店ではWebカメラが売り切れになるなど、実際には多くの人が始めているらしい。

 

 インターネット通信量が50%ほど増えたとの情報もあり、デジタル屋としては「ウィルスの功名だが、それ自体はいいいこと」と思っている。ただ物事には必ず影の部分がある。一気に利用者が増えたビデオ会議アプリの「Zoom」に、脆弱性の指摘が噴出している。

 

 青山の方のオフィスにビデオ会議を申し入れてきた会社は、日本とインドの2拠点からつなぐのでと「Zoom」での接続を求めてきた。慶応大学とコロンビア大学の会合でも、「Zoom」が用いられた。理由はと聞くと「大学関係者を中心に、すでに利用が一般化していたから」という。

 

 無料かそれに近いコストで導入できるので、「コロナ禍」の以前から草の根的に広がっていたのだろう。過去も現在も大学は予算が多くない。新しい機器・設備を導入する場合は、特にお金が用意できない。設定などは手慣れた学生がやってしまうので、教授陣は「おー、準備できたか」とだけ言っていればよく、問題点を深く考えることもない。

 

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 しかしビジネス部門など、多くのところで利用されるようになると問題点が目立つようになった。恐らくは簡易にインターネットで映像・音声などを送る表側の機能だけ実現したアプリなのだろう。ハッキングの余地は一杯あって、会議中にポルノ映像が挟み込まれるなどの被害が報道されるようになった。

 

https://www.lifehacker.jp/2020/04/210685dont-click-on-links-in-public-zoom-chats-right-now.html

 

 極めつけはこの記事にあるように、会議中のチャット機能で何かのURLをクリックすると、悪意あるウィルスに感染しPCが乗っ取られるというもの。ほかにも脆弱性が一杯報告されて、台湾行政院が「Zoom」利用を禁止し、Googleも同様の措置を取った。

 

 新しい(利用)技術が導入されるときの「初期不良」とは思うのですが、急激に需要が増した分だけ対応が後手に回った感はあります。政府中枢など重要情報を扱う会議では、軽々とお使いになりませんように。