笹川USAの5Gリスクに関する見方や、それに対するMicrosooftの「5Gネットワークのクラウド化」についてご紹介してきたが、今回は米国でこれに関しての国家戦略が発表されたのでコメントしたい。
以前から「中国政府の手先であるHuaweiを潰せ」と叫んでいるトランプ先生だが、その背景に、Huawei製の5Gルータが世界を席巻し情報が中国政府に筒抜けになることへの危惧があることは何度か述べた。過去にエシュロンやプリズムで米国政府自身がそういうことをしてきただけに、逆にやられた時の恐ろしさは身に染みているのだろう。
別途Huaweiに対して短腕のTSMCがチップを供給することを阻む措置もとっている米国だが、同時に2つの法律にトランプ先生が署名をした。
・Secure 5G and Beyond Act
・Broadband Deployment Accuracy and Technological Availability Act
前者は、大統領が米国内外で安全な無線通信技術を採用するための戦略を策定・実施することを求めている。後者は、FCC(Federal Communications Commission)がデータ収集のルールを定めデータの正確性を検証するプロセスを確立することを求めている。
ではそれをどうやってやるのか?同時に発表されたホワイトハウスの「国家戦略」は、一部ではあるがその回答になっている。ここに示された戦略(というより行動指針)は4つあって、
・5Gの米国内展開を促進
・リスクを評価し、5Gインフラのコアセキュリティ原則を特定
・世界中での5Gインフラの開発・普及につき、米国に対するリスクを評価
・5Gの責任あるグローバルな開発・展開を促進
となっている。
平たく言うと、5Gは便益性の高いものだから米国民が使えるようにするが、リスクはちゃんと見て「コアセキュリティ原則」を定める。米国にとどまらず世界中の5Gの開発や普及動向から、米国の安全保障や経済に影響を及ぼすことがあるかを注視する。米国を利する開発や普及を図る企業等を支援する・・・ということだろう。
<続く>