Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「前例のないやり方」は無理

 政府が「コロナ禍」に対する緊急経済対策の一環で「一世帯あたり30万円の現金給付」を決めたとの報道があって、数日たった。困窮している家庭も多いし、欧米各国も個人への給付や事業者への雇用保障など打ち出しているから、方向性としては理解できる。ただその内容については、議論と憶測が飛び交う混乱状態だ。

 

・減収後の月収が定額を割り込む世帯

・希望する人が自治体に自己申告

・風俗業などの従事者も対象

・必要あれば一度ならず何度か給付

・前例のないやり方で・・・

 

 という次第。多くの経済評論家・弱者支援の団体が求めているように、「必要な人に、素早く、相応の規模で」給付がいきわたることが必要とされる。ただこの3条件、財政規律の話は今回忘れたとしても、相互に矛盾している。

 

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 僕はこの中で「素早く」が一番重要だと思う。「COVID-19」の国内蔓延以前からインバウンド需要減や、昨年の消費増税以降の景気悪化で、多くの労働者が職を失ったり、減収に直面している。正直「待ったなし」のはずだから、選別に時間のかかる「対象限定」は止めて、一旦一律全国民に給付すべきだと書いた。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/03/19/060000

 

 給付を課税対象にして、さほど困窮していない人からは今年度の税収として返してもらえばいいというアイデアも聞いた。それでやっても、4月に補正予算案通過として給付は5月末になるのが最速だ。しかるに政府は選別をするという。これでは給付は6月以降になることが確実、下手をすると秋になる。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20200405-00171646/

 

 のような意見もあって、生活保護だって十分行き渡っていないのにこの給付が本当に必要な人に届くか懸念している人も少なくない。加えて西村経済再生担当大臣の「前例のないやり方」という発言には首をかしげざるを得ない。

 

 自治体窓口の業務は、電子行政普及のために勉強した。分かったことは、業務がどの法律・施行令・規則等に基づいているか、前例はどうかが分からないと何もできないということ。だから前例のないやり方の場合は、法整備からそのプロセス訓練を十分(できれば年度単位)しなくては実行不可能なのだ。このままだと、給付は1年後・・・なんてことになりかねませんよ。