Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

5Gリスクに対する技術的仮説(前編)

 先週、笹川USAの5Gリスクに関するレポートを紹介した。Huaweiの経営者は立派な人だと言うし、人民解放軍出身だからどうのということは僕は気にしないが、中国政府の援助を得て急激に企業を成長させたことは間違いがない。その結果5G分野では追随するものがいない技術力・製品競合力を持つに至った。

 

 世界を席巻する技術力・製品競合力というのは、例はいくらでもあった。トヨタの自動車、IntelマイクロチップGoogleの検索サイト・・・これらとHuawei/5Gのどこが違うかというと、自由主義社会の製品・サービスではないということだ。これを強権的国家が握った場合、世界を牛耳ろうとする可能性があるということ。

 

 米国だって「情報で世界を牛耳る」ことはしてきた。アナログ時代のエシュロン、デジタル時代にはプリズムという、世界中の情報を収集する仕組みを持っていた。情報は米国大統領のもとに集まるのだが、大統領には任期があり議会のチェックがあり、国民の選挙がある。

 

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 しかし事実上の終身国家元首であり、議会のチェック機能も普通選挙も「自由主義国」とは異なる現在の中国に、世界中の情報が集まる未来というのは脅威である。だからといって、製品競合力の低いシステムで自国の次世代通信を構築するというのも、国力を損なうことになる。

 

 ではどうするか?前回は5G時代のキラーアプリケーションが出てくるまで、時間つなぎをするくらいだと言った。しかし可能性はあって、Huaweiルータなどの製品を使っても、通信データが漏れない/利用されない仕組みが作れないかというものである。

 

 4G通信にだって、Virtual Private Network(VPN)という仕掛けはある。通信路を仮想敵に専用線化する技術で、暗号が掛かるなどしていて普通に通信したものを容易に盗み見られないようにするものだ。昨今街角に無料WiFiが設置されているが、これなども安全性は高くない。スマホWiFiをONにして歩いていて、当該基地局の付近を通っただけで情報を盗まれたケースもあるという。だから危険なWiFi基地局を経由する場合は、VPNがおすすめだ。

 

 そんな工夫はないかと探していたら、Micorsoftが「Affirmed Networks」社を買収したという記事を見つけた。この会社は、仮想化されたモバイルネットワークの分野で先導的な企業だという。

 

<続く>