Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

メディアは閉店できない

 「新城彰の本棚」という別のブログでだが、キース・ピータースンの「夏の稲妻」を読んでの感想を書いた。<ニューヨーク・スター紙>のベテラン記者ジョン・ウェルズを主人公にした社会派ミステリーだが、8月の黙っていても汗の滴るマンハッタンでの彼の苦闘を描いたものだ。

 

https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2020/03/07/000000

 

 8月、大富豪は欧州等に、富裕層も一般の労働者も休暇で出ていくから、マンハッタンにはホームレスと新聞記者が残るとある。ネタ枯れの8月でも新聞は出さないといけないので、新聞記者は居残って仕事をするというウェルズの自虐的な独白である。これを読んで、なぜオリンピックが8月なのかの理由が納得できた。

 

 コロナ禍でイベント自粛、スポーツ大会中止が相次いでいる。必然的に、イベント主催者や会場・花や衣装などのイベントサプライヤ・旅行業者・交通事業者・宿泊施設・飲食店などで悲鳴が上がるようになった。パチンコ閉鎖を言い出した議員もいて、多くの業界が戦々恐々もしくは達観の状況にある。

 

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 そんな中、僕は声こそ挙げていないがメディア各社も相当困っているのではないかと思う。表に出てくるのは、某女優主演の4月ドラマが医療もので放映できなくなった・・・くらいのものだが、スポーツ中継など無観客土俵以外は吹き飛んでしまったのだから。

 

 日本だけではないが、8月のマンハッタン以上のネタ枯れがメディア業界を襲っているのだ。僕などはTVNHKニュースくらいしか見ていないので気づいていないのだが、バラエティ番組も含めて結局ネタはコロナ禍ということになる。やれ政府の対応が遅いとか、どこかのライブで「クラスター」が発生したとか、デマが流れてスーパーの棚がカラになったとか、自然と一般市民の不安をあおる方向に軸足が移っていく。

 

 自民党の重鎮は「バラエティ番組などでコロナ禍を過大に扱い不安を助長する」ことを戒めていたが、メディアとしてはほかにネタがないし、コロナ禍を取り上げないと視聴率が下がるのでやむを得ない。かといって「非常事態宣言」によってメディア統制をするようになっては、これもまた困る。結局のところ一般市民がちゃんとしたリテラシーをもってメディアを選別、視聴率のために過度に不安をあおる報道は見ないようにするしかないのだが・・・これが一番難しいですかね。