Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

浦添城址とHacksaw Ridge(後編)

 「ようどれ館」には休憩施設があるのだが、ここはまだ浦添城の外郭。おそらく「二の丸」くらいのものだろう。「本丸」はさらに200mほど奥にある。ゆるい上り坂の先に、駐車場があった。海兵隊のバスが止まっていて、米国人と思しき人影が10人単位でいた。丸太のような二の腕、ちらつく入れ墨・・・その割には童顔で気のよさそうな青年たちである。城址の入り口の両側には石組み、その間から北側の街並みが見下ろせる。

 

 南側よりずっと峻険な坂(というより崖)のようだ。入口の案内板に、手書きで「Hacksaw Ridge ⇒」と記した紙が貼ってある。その方向から英語のアナウンスが聞こえる。引退した鬼軍曹という風情の男性が、何十人もの高校生くらいの若人に、何か説明している。「Hacksaw Ridge」という言葉が聞こえたから、あの手書きの紙はこの人たちが貼ったものらしい。鬼軍曹は「10 minutes!」と言って若人たちを散会させた。

 

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 「本丸」は30×100mくらいの平らなところ、建物の類は何もない。資料によると1609年(関ケ原の後、大坂の陣の前)に薩摩藩の襲来で建物は失われ、以後再建されたことはないとのこと。最強薩摩兵の鉄砲隊でも、この丘陵は攻めあぐねたろうなと思った。高校生たちが「⇒」の方向に行くのだが、看板にはその方面は立ち入り禁止、「前田地区」は崖が急で危険だと書いてある。

 

 僕らは宜野湾の方を見て、コンベンションセンターはもちろん「ムーンオーシャン」まで見ることができて感激していた。嘉数公園も普天間基地も、遠く北谷も望むことができる。満足してバス停まで戻ってきたのだが、「Hacksaw Ridge(弓鋸の崖)」という言葉が頭の片隅に引っかかっていた。調べてみると、嘉数同様沖縄戦の激戦地だったことが分かった。2016年にメル・ギブソン監督で映画化もされていた。

 

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 前田高地に立てこもる日本軍に対し、ホッジ少将指揮の米軍第24軍団が攻撃したものの10度攻撃して撃退され、11度目に成功。3週間かけてこの高地を奪ったという史実を基にしたものだ。なるほど今日の高校生たちは、その映画の現場に「修学旅行」に来たのかと納得した。修学旅行は海兵隊のバスで行こう、というわけだ。

 

 僕らが城址にいた間も、20分に一度くらいはF-15の2機編隊が上空を飛び、イロコイスと思しきヘリが不定期に飛んでくる。基地の島沖縄の古戦場、米国の高校生はもちろん、僕らにもいい勉強になりました。