Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

20世紀の残り物(春闘)

 竹中平蔵という人も、僕が勉強させてもらった識者の一人である。小泉内閣で改革の先頭に立ち総務大臣なども務めたし、今も「未来投資会議」の重要メンバの一人だ。かつては慶応大学教授、今は慶応の方は名誉教授で東洋大学教授というのが一番よく聞く肩書である。僕も小泉内閣のころからデジタル政策を勉強しているので、著作などよく読んだ。

 
 一方で人材派遣会社パソナの会長も務めていて、「規制改革で派遣を活用できる業種を拡大して、我田引水した」との批判をする人たちもいる。例えば竹中教授が最近の主張で、「正社員をなくせ」と言いながら「ベーシックインカム」を検討しようというのは矛盾だとその人たちは言う。僕は矛盾ではないと思っていて、正社員というのが守られすぎているから「従業員を時価評価」し、能力や実績に見合った報酬にしよう、それでは生活できない場合に備えセーフティネットが必要。その一つが、生活保護などと並んで「ベーシックインカム」ということだろう。
 
 竹中教授が嫌っているのが、能力もないのに高給を食んでいる正社員である。これまでの人事制度は、よほどのことがない限り在籍年数によって相応の報酬をえられる一種の「保障」制度である。これが「正社員という特権階級」を作ってしまい、日本企業の競争力を殺いだというのが教授の主張。

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 先日経団連会館に向かっていると、なんだか騒がしい。街宣車と色とりどりの旗が立っていて、人だかりがある。相変わらず「労働者vs.資本家」というスタンスで、資本家代表の経団連会館の前でシュプレヒコールを繰り返している。日本社会もそんな2層構造ではなくなってしまい、正社員と非正規社員という新しい階層が生まれているというのに・・・。経団連そのものや一部先進的な企業で「年功序列廃止」の動きはあるのだが、裾野ではそうもいかないようだ。
 
 日本の構造改革イノベーションは米国に比して遅れていると思っているのだが、それを象徴するような光景だった。こんなもの要らない・・・「特権階級である正社員」による春闘でした。