Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

かんぽの宿「熱海本館」

 かんぽ生命などの不祥事があり、TOP全てと監督官庁である総務省事務次官までが交代してしまった日本郵政。火中の栗を拾ったのは、元総務大臣増田寛也氏。早速全社員に綱紀粛正を求め、地方の郵便局員に至るまで新年会などの宴会はご法度、個人でも呑みに行くのを自粛しているという。

 

 「日本郵政」は旧郵政省そのものだった郵便組織で、郵貯簡保という金融商品も取り扱い、日本最大のATM運用機関でもある。現役時代には、出入り業者としてのお付き合いも多かった。金融機関のみならず、宿泊施設も持っていた。高齢者保養施設などもあったが、多くは「お値打ちな価格の旅館」。

 

 僕らの職場ではお客様でもある郵便局の配慮し、宿泊をともなう忘年会などでは「かんぽの宿」をつかうことも何度かあった。設備も立派だし食事も豪華、お値段を聞くと少々驚いたものだ。この施設、民営化前のこのころは簡易保険加入者に限定した保養施設だった。「かんぽの宿」と呼ばれていたのは通称で、後の民営化時に正式名称になった。

 

 全国津々浦々にわたる郵便ネットワーク、これはユニバーサルサービスとして明治時代に構築された日本近代化の象徴でもある。このネットワークに乗せて貯金や保険といった金融サービスを民間の銀行等が届けられないところまで普及させた。さらに保険加入者向けの保養施設、高齢者向け施設まで拡大したのは悪いことではない。

 

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 しかし民業が発展してきて、それらと競合するようになったら本来退いて行くのが官業のあるべき姿。それができなかった理由は、郵便局員らの組合「全逓」の存在にもあり、霞ヶ関の縄張り意識にもあったように思う。

 

 全国に設置された「かんぽの宿」は、現在38箇所。昨年10余り閉めて、2つが長期休業中だがこれだけの数まだ残っている。僕のマンションからは、熱海港を見下ろす丘の上に「かんぽの宿熱海本館」が見える。写真の右側がそれで、左側の「星野リゾートRISONANTE熱海」(旧熱海百万石)と見まごうばかりの立派な施設である。

 

 熱海にはもうひとつ「別館」もあるそうだが、こういうところにお金をかけてしまったから現場には無理な営業を強いられたとしたら「戦略的なミス」である。昨年10以上閉めたとはいえ、まだまだ整理の余地はありますね、増田社長。