今日の「日独ICT政策対話」の議題は3項目、
・Data Economy & Internet Governance
・Emerging Technologies
・IoT Security
で、僕の期待する「GAIA-X」の話は最初の項目の中にある。説明に立った経済エネルギー省の担当官は、欧州全体のゴールとして、
・データ主権を確立する。
・独立(孤立?)している状態を打破する。
・クラウドサービスを広い範囲で基本とする。
・イノベーションのためのエコシステムとしてデジタル基盤を活用する。
ことを挙げた。要するに社会のそこかしこに点在しているデータとその管理システムをクラウド環境に取り込み、多くのプレイヤーが自分以外のデータにもアクセスすることでイノベーションを加速する。それ全体をエコシステムというのだという主張。ここまでならどこでも聞くような話だが、次のステップがちょっと違う。Data availabilityという言葉が説明の中にあった。これは単純にシステム同士を繋ぎデータを交換できるようにしても、それが使えなければ意味がないということ。
具体的には、データのフォーマットやニュアンス、ID体系などが異なると、得たデータをすぐには使えないことを意味する。DEPAにデジタル(統一)IDという概念が入っているのは、このような事態を防ごうということだ。「GAIA-X」でも、Interoperabilityという言葉があって、関係機関の間で意味を含めた共同利用が可能だということを示している。
ただ担当官の説明は、やたらと情報の正しい利用、情報の保護、セキュリティなど個人情報に配慮したものが多かった。聞きたいと思っていたデータ活用のメリットについては、ほとんど語られることはなかった。個人情報保護意識の強い欧州ならではの説明だったと思う。具体的な進め方やメリットを受ける人たちについては、結局聞くことはできなかったがドイツ政府と参加している企業意志はよくわかった。
ただこれがドイツとか欧州のためだけであって、米国のデジタル企業対抗で考えられたものだとしたら問題ですよね。インターネットに国境はないので、米国のGAFAたちも仲間に入れてやってほしいです。もちろん日本企業も・・・ね。