最後のセンター試験が終わった。多くの受験生には、もうひとつ試験が控えているだろうと思う。健闘を祈りたい。僕自身は、センター試験の前の「共通一次」すら経験していない。個別の大学を受験し、運よく1校に合格して学生生活に入った。
決して裕福ではなかった僕の家では、私立の大学に進学することも、下宿を伴う自宅から通えない大学を選ぶこともできなかった。だから選択肢は、名古屋大学、名古屋工業大学、岐阜大学、愛知教育大学しかなかった。とても教師というガラではないので、選択肢は三校になっていた。
そのころの国立大学の授業料は安かった。3,000円/月で、年間36,000円。これでも僕の入学の少し前に3倍にハネ上がっている。ちょっと先輩の人たちは、1,000円/月の授業料で学べたのだ。それが今や国立大学でも、年間530,000円が標準額。大学毎に±20%は増減できる制度になっている。
今回千葉大学が上限いっぱいの640,000円にまで値上げするという記事があった。僕の時代からは18倍近い値上げだし、月額53,000円という数値は僕が最初に一人暮らしを始めたアパートの家賃より高い。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200121-00000005-nikkeisty-bus_all
私立大学の場合はもっとコストがかかり、4年制大学卒業までに2,300万円必要とするレポートがある。老後資金2,000万円不足という記事が昨年話題になったが、それを上回る額が一人の子供にかかるわけだ。これでは年収の低い家庭では子供に高等教育をつけさせることは難しく、「階層の固定化」につながるとの危惧がある。
ただこの現象は、決して日本だけのものではない。米国の大学でも、公立で年間1万ドル、私立ではその3倍以上になる。卒業時点で奨学金による返済額30万ドルを抱えてしまったという話もある。英国の授業料も年間1万ポンド近いというから、事情は米国よりマシとはいくまい。
かつての日本の月額1,000〜3,000円という制度は、僕を含めて豊かでない家庭の子供たちを世に出してくれました。国際競争を鑑みスタンダードに倣うのもいいですが、国の政策として力を入れるべきところは教育ではないかと思いますが・・・。