Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

シンクライアントとサーバー

 「桜を見る会」の泥仕合はいい加減にしてほしいと思う。先だっては野党のセンセイたちが大型シュレッダーを見学、裁断所要時間を計測するさまが何度もTVニュースで流れた。名簿のハードコピー(紙のこと)の追求が行き詰ったののか、今度はソフトコピー(デジタルデータのこと)の名簿探しが始まっている。

 

 確かに昨今名簿などというものは機械書きに決まっているから、どこかにデータが残っていると考えるのは当然だ。すると、政府側はそれもないという。説明の中に「シンクライアント」という言葉が出てきた。僕のオフィスでもそうだが、ハードディスク付きのPCではなく大容量のデータ記憶装置を持たない(機能の薄い)シンクライアントを使っている企業は多い。

 

 データファイルはサーバーという倉庫にあり手元にあるのはキーボードとディスプレイだけ、ネットワーク経由でサーバーを使ってあたかも手元にPCがあるように見せるシステムである。だから名簿を扱っていた人が使っていた「シンクライアント」には、確かにデータは残っていない。

 

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 ただ普通はこの「シンクライアント」がネットワークでつながった先のサーバーにはデータが残っているはずだ。もちろん個人情報保護が厳しくなっているので、不要になったデジタルデータファイルを早めに消去する傾向はある。「サーバーのデータも消しました」ということはありうる。しかしデータはコンピュータシステムの中で一番重要なもの、これを守るために技術者はいろいろなことを考え仕掛けている。

 

・ハードディスクの故障に備え、ある時点で全体をコピーしてバックアップする。

・ハードディスクの中の故障に備え(マシンが勝手に)コピーをどこかに作っておく。

・誤操作でデータを消しても復旧できように「ごみ箱」のアイコンを用意しておく。

 

 それに消去したといっても、データそのものを全部消すわけではない。その目次部分だけ消せばいいので、目次を復旧させればデータが読めることも多いのだ。だから、どこかに一部だけでもデータが残っている可能性は高いと思う。誰が考えた「言い訳」か知らないが、もう少しデジタルリテラシーを持ってほしいものだ。

 

 総理や官房長官の会見を聞くと、「復旧できない」とは言っていない。「復旧できないと聞いている」と言っているのだ。もしデータがどこかから出てきてしまったら・・・ということまでお考えなのでしょうかね。