Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「キモノの日」の日本橋

 ある総合商社さんを訪問しようとして、日本橋タワーにやってきた。新幹線を久しぶりに北口で降りて、日銀やメリルリンチの本社ビルを眺めながら東へ歩いて行った。あまり縁のない道で、長崎県滋賀県のアンテンショップがあった。滋賀県というのは僕の母方の祖父母の出身地。これから訪ねる商社さんの発祥の地でもある。

 

 東京日本橋タワーは最近できたビルで2本建っていて、南側の建物には「高島屋」が入っている。1階からは非常に大きなエレベーターが6機あって、7階までノンストップで運んでくれた。7階がそれ以上の階にある各社のオフィスへの受付である。

 

 そこで「xx社へ行きます」と言おうとして、ちょっと驚いた。すべての受付の女性が和服姿だったのである。確かに格式高い総合商社なのだが、元日・正月でもないのにこれは何だろうと思った。そこの掲示を見ると、

 

 「11月15日はキモノの日」

 

 と日本語でも英語でも表示してある。脇に「京都織物卸商業組合」の名前があった。そうだな、この総合商社さんは確か呉服屋からスタートしたはずだ。すごいねと思いながら打ち合わせを終わって、受付の前を通って街中に戻った。

 

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 和服というのは、結構手間のかかる衣装だと思う。もちろん伝統として保存することに異論はないのだが、日常利用するというのには課題があるのではなかろうか。呉服屋がルーツということはもちろんあるのだろうが、11/15という「キモノの日」のためにこういう企画をされていることは立派である。

 

 もう老境に入った両親の話など聞くと、かつては「衣食住」のうち「衣」にかかるコストは大きかったという。現在にいたる過程で種々の安売りチェーンなど出来てきて、相対的に比率はひどく下がった。今となっては「住」の比重が高いのではないかと、母親は言う。

 

 かの時代には「呉服」は事実上の資産だった。だから呉服屋だったこの企業は大きな市場を持っていて、「総合商社」への道を進めたのだろうと思う。そんなルーツを持つ企業さんを訪問した日に、いいものを見せてもらえたと思います。