Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

戦争の功罪

 先日参加したのは、「2019国際平和のための世界経済人会議」という名称の国際会議だった。改めて広島の人たちの平和意識の高さを感じたのだが、もちろん「平和」の重要性を否定する人などいないと思う。それなのに「戦争の功罪」とは何事だと叱られそうだが、非常に興味深い記事を見て「戦争の功」の面を考えてしまった。

 

https://www.moneypost.jp/592913

 

 技術屋の視点では、戦争は技術の飛躍的な進展をもたらすという「功」はある。「殺し合いともなれば、人類の知恵は無尽蔵」と言った軍人もいた。近代コンピュータの原型「ENIAC」も、利用目的は「大砲の弾道計算」だった。第二次世界大戦なかりせば、今のインターネット社会はもっと遅れてきたかもしれない。

 

        f:id:nicky-akira:20191019090050j:plain

 

 しかし上記の記事は、そんなレベルではない「戦争の功」を示している。主旨は「平和が続くと、格差が拡大する」というもの。これは久しぶりに「膝を打つ」ほど興味深い論説だ。示された図では、戦争からの復興過程で国民所得(富裕度)はベルボトム型になる。それが平和が続くと格差が拡大、ロングテール型になるというもの。

 

 アメリカ合衆国の格差がひどいのは、良く知られている。もちろん両世界大戦やベトナム戦争イラク戦争と戦い続けているが、南北戦争以来本土は戦場になっていない。つまり「平和」は150年以上続いているわけで、先進国の中でこの期間は抜群に長い。フランス・ドイツ・イタリア・ロシア・日本・中国は第二次世界大戦で自国が戦場になったし、イギリスだってドイツ空軍の空襲にさらされている。

 

 もうひとつ中国の歴史も、この説が正しいことを裏付けている。古来王朝が倒れる(戦争)は、宗教集団や庶民の蜂起がきっかけになる。その原因は「格差」だ。王朝による統治が行き届いて平和が続くと、腐敗やらなにやらはもちろんだが結局格差が拡大する。それが庶民の我慢できないくらいの「ロングテール型」になると、戦争によりリセットが求められるわけだ。

 

 その中国も「国共内戦」から、もう70年ほど平和が続いている。「格差」のエネルギーは蓄積されていよう。平和の時間の長さは、日本を含めて他の先進国も同じくらい長い。昨今の「きなくさい国際情勢」もこれが原因なのかもしれないと思った。うーん、僕ら夫婦が生きている間は、なんとか平和でいてくれませんかね。