Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デベロッパーの販促手法

 台風19号による広範囲な水害で、自らの住んでいるところのリスクを見直そうという人が出てきた。古来、日本は自然災害が多い。東日本大震災の後のイベントで席を並べた時に、「脆弱な国土ゆえ、強靭化を計る」と国交省のOBの人は僕に言った。

 

 江戸という街づくりの基本は治水工事だった。後北条氏が滅んだ後ここに転封された徳川家康は、沼と丘の連続で不毛の地だった江戸の改造にとりかかった。丘を削り沼を埋め、複雑に入り組んだ河川を整理した。その結果、当時世界に珍しい100万人の都市ができあがったわけだ。

 

 このような地形は関東のいろいろなところにある。例えば高級住宅地として知られる田園調布、1~3丁目までは丘の上だが4丁目5丁目は多摩川に近い低地で以前は「沼部」と呼ばれていたと下記の記事にある。

 

https://times.abema.tv/posts/7024646

 

 今回の水害は、田園調布4丁目、5丁目を襲った。記事はここも高級住宅地としているが、ある人は「高級住宅地は1~3丁目だけだ」という。今回の被災地は田園調布というブランドが確立してから、近隣の「沼部」を宅地開発と前後して改称したのではないだろうか。東急電鉄の路線図を見てみると、奥沢⇒田園調布⇒多摩川園⇒沼部⇒鵜の木⇒下丸子となっている。

 

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 田園調布までは高級住宅地だが、その後は水にちなんだ名前が目立つ。例えば下丸子は、今回氾濫した丸子川の下流の意味だろう。だとするとこのあたりの土地には、今回のような大量の降雨があれば水に対する脆弱性はあったわけだ。

 

 多摩川の対岸の武蔵小杉、僕が南武線沿線の社員寮にいたころは何の変哲もないところだったが、昨今の高層化は凄い。それでも下水道などのインフラ整備が追い付いていなかったようで、今回「内水氾濫」で被災している。このあたりも、本当にこれほど多くの住民を住まわせることができる地理的条件を満たしていたかについて疑問が残る。

 

 25年ほど前だろうか、「水の都」大垣市で「遊水地」を宅地として売ってしまう詐欺があった。これははっきり犯罪としても、武蔵小杉のタワーマンション群や田園調布4・5丁目の件、デベロッパーの販促(反則?)手法ですよ・・・というだけでは収まらないかもしれませんね。