Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

熱海市、災厄の日

 本来なら丸の内オフィスに戻るべき時間に横須賀リサーチ・パークを出たのだが、横浜まで戻ってきてその考えは無くなった。首都圏を襲う台風としては記録にないような規模だし、どうも伊豆半島直撃コースらしい。まっすぐ帰宅することにした。

 

 夕方、まだ明るいうちに熱海駅に降り立ち、まだ激しくない雨の中を自宅まで帰った。僕の自宅はマンションの10階、オール電化なので最も危険なのは停電である。水も使えなければエレベータも動かないし、湯を沸かすこともできない。これは心配しても仕方がないので、ベランダやルーフバルコニーにある植栽などを固定したり片づけた。

 

 家内が大体やってくれていたのだが、同じ建物に老いた両親も住んでいる。金曜日の夕方帰ってから土曜日の午前中、家族で台風への備えに忙しかった。関東に勢力が衰えないままに上陸した台風と言うのは、あまり例がないらしい。僕は3歳の時に「伊勢湾台風」を食らって以来、名古屋で多くの台風を経験した。ただ、「台風の目」に入った経験はない。台風の針路予報図を見ていると、多少左右にズレるのだが熱海周辺を「目」が通るようだ。

 

 午前中から風雨が強くなって、午後には少し先も見通せないような横殴りの雨になった。台風情報によると、午後7時過ぎくらいに台風は熱海上空を通過する。加えて午後4時には房総沖を震源とする地震まであった。もう「まな板の上のコイ」だとばかり、カンパリソーダを呑んで状況を見ていた。前のマンションでは灯が不自然にまたたき、一時期停電した。8時過ぎには周囲が静かになり、ベランダに出たら月が出ていた。「目」に入るという最初の経験をすることになった。

 

    f:id:nicky-akira:20191013062538j:plain

 

 幸い僕の家族に被害はなかったが、この台風からみで死者・行方不明者90人にのぼる大きな被害が出たとの報道である。一夜が明けて台風一過の朝、割合広いエリアで断水したことを除けば熱海の街は平静に戻っていた。この台風、結果としては「雨台風」だったようだ。被害の大半は、土砂崩れや河川の氾濫によるものだった。70以上もの河川が氾濫している。

 

 多摩川久慈川千曲川阿武隈川と氾濫した河川を並べてみれば、この台風の大きさが分かろうというものだ。広い範囲に「大雨特別警報」が出て、NHKは終日台風情報を流してくれた。これこそが、公共放送の務めと言うものだろう。それにしても先月の15号といい、今回の19号といいひどいことになりましたね。もう、今年の台風は終わりですよね。