市ヶ谷という駅に降りるのは、たぶん初めて。夕方の込み合う橋の上を、人の流れと逆方向に進む。目的地は、ホテル・グランドヒル・市ヶ谷。この週、本日のレセプションパーティを含めると4日間行われる国際会議の始まりである。普段の国際会議と違うのはこの場所が防衛省に近接していることと、やってくる人の約1/3が「制服組」だということ。
今回のイベントはNATO軍の支援を受けた安全保障に関するもので、Cyber Defenceを縮めて「CYDEF2019」と称している。すでに国家安全保障の一部(か大部)になってしまった、サイバーセキュリティを議論しようという場である。日本で開催されるから参加者の多くは日本人だが、欧州や米国からも何人ものスピーカーが登録されている。
主催者挨拶の後、スピーチに立ったのは元防衛大臣の中谷衆議院議員。言わずと知れた防衛大出身で、自民党でも指折りの防衛通である。方々のテーブルに挨拶回りをされていたが中には防衛大の先輩もいるようで、その際は直立不動。先輩たちも「ぜひ総理になってほしい」などと激励している。1/3ほどの外国人を除くと、防衛大の同窓会のような雰囲気もある。司会をしている人も、一佐で退役したと自己紹介していた。
そんな中に、僕らのような文民が10人ほど。霞ヶ関官僚も含めて、そのうちのほとんどは顔見知りだ。この人たちとはまたの機会もあるだろうから、なるべく制服組やそのOBを探して話をした。ちょっと打ち解けてきたので、シミュレーション・ウォーゲームの話をすると半分くらいの人が乗ってくる。それもコンピュータゲームではなく、アバロンヒルのサイコロ振る奴の話で盛り上がる。
正味3日間、10人ほどの人の講演と、14のパネルセッションが用意されている。特に最終日は、横須賀に会場を移す予定だ。そして土曜日には海上自衛隊の観艦式を見るという人もいるらしい。参加を予定している人たちは、週末やってくるかもしれない巨大台風のことが気がかりのようだ。
僕としては、台風よりもパネルセッションの方が心配です。出番が2つもあるし、通訳はあるというもののいずれも初対面の外国人(大佐とか中佐と肩書にある)が相手なので・・・。