Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

新橋「本陣房」

 40余年来の古い友人と2人で食事をしようということになり、予約してもらったのは内幸町の交差点に近い路地のお蕎麦屋さん「本陣房」。彼がある機関に出向していた時期、そこの理事長がお気に入りの店だったということで、「十四代」や「八海山」など日本酒の銘酒が売り物。


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 新橋駅からSL広場を抜けて、スマホの地図を頼りになんとかたどり着いた。地下に降りると真新しい木の内装の、思ったよりさっぱりした店のつくり。2人用個室に収まって彼に聞くと、最近改装して個室中心にしたのだが、以前は大部屋・ワイガヤのお店だったとのこと。
 
 お通しはアジの南蛮漬け、枝豆と揚げた蕎麦でビールをいただいたあとは、本命の日本酒に。彼が「十四代」を頼むと、「申し訳ない、売り切れ」との返事。仕方がないので、彼は「八海山」を呑むことにした。黒塗りのマスに乗っけた陶器のグラスに「八海山」がなみなみと注がれる。こぼれるほど(実際少しこぼれた)注ぐのが礼儀、とのこと。僕は少しあまのじゃく、銘柄のない「マス酒」を頼んだ。1合マスよりずっと小さなマスだが、受け皿が大きく、これにもこぼれるように注いでゆく。これも礼儀なのだろうか?
 
 最近一緒にした仕事から、少し前の各々やってきたこと、家族のこと、最後は学生時代の話になる。酔うに従って、時代が遡るのは自然なことだろうと思う。お刺身の盛り合わせ、だし巻き卵、炙り明太子と日本酒にぴったりのものばかりつまんだ末は、やっぱりお蕎麦。ここのもうひとつの売り物はてんぷらだということで、僕はアナゴ天蕎麦を注文。大ぶりのアナゴ天のサクサクした食感は、独特のもの。アナゴは大好きだが、かば焼きよりはてんぷらの方が好きである。
 
 いい気分でSL広場まで戻ってきた。2段重ねのお蕎麦でお腹が一杯です。人生100年時代とは言いながら、お互い60歳を越えていつまでこういうことができるか、彼と別れてからふと考えてしまった。彼をかわいがってくれた当時の理事長が、ご馳走されてもメニューが気にいらないと後で「(つまらぬものを食べて)損をした」とおっしゃったそうだ。あと何回美味しいものを食べられるかわからないのにという意味だったようで、僕らもそういう事が分かる時期になったのかと思いました。