Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

増税ショックへの対応(前編)

 いまさら言ってもセンないことだが、軽減税率にキャッシュレスポイント還元、これに個々の事業者の特別セールが加わって、「本当のお値段」が全く分からない。実際にどう変わったのか、昼時に街中を歩いて特にランチの値段がどうなったか少し調べた。もともと税込み表示で、カンバン含めて何も変えていないラーメン屋があった。あるそばチェーンは、510円だった蕎麦と小丼のセットを520円にしていた。その一方、ラーメンと小丼のセットは610円から530円に値下げしていた。

 

 2%消費税が上がってテイクアウトだと8%のままだから、そのまま売価に反映するとどちらかが1円単位の端数になってしまう。POSなりレジを1円単位対応にしなくてはいけないことは、店員のオペレーションを含めて負担が大きい。だから、上記のように10円単位に丸めるなり据え置くなりしているわけだ。

 

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 しかし、税抜きの金額表示をして、+税を売り上げとしていただく店ももちろんある。今回そのようにした代表格、「吉野家」に行ってみた。レジは1円単位のものに改修してあって、お金を投入すると自動的に釣り銭が出てくる機械を導入していた。その上に、「期間限定・牛丼、牛皿10%引きキャンペーン」を張っている。

 

 八重洲地下街にあるこの「吉野家」、昼時を少し過ぎているのに待ち行列ができていた。行列と反対側には、テイクアウトの人も数人だが並んでいる。少し待って席に着き定番の「牛丼・並」を頼んだ。丼とともに運ばれてきたレシートには、税抜き316円、税込み347円とある。

 

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 税抜き価格は352円だから、352✖0.9=316.8、切り捨てて316円。これに消費税10%を乗せて、316✖1.1=347.6、ここでも端数切捨てで347円というわけ。キャンペーンが終ると、352✖1.1=387.2、端数切捨てでも387円となる。(テイクアウトは380円)

 

 「吉野家」としては、このキャンペーン中に1円単位オペレーションの訓練をしようとしているのかもしれない。今だけだがキャンペーンによって「牛丼・並」は増税前より安くたべられるわけだ。消費者にとっては増税ショックを麻痺させる鎮痛剤のようなもの、2週間で効き目が切れてしまうが束の間痛みを忘れられる。これは民間事業者が自助努力でやっているものだから目くじらは立てないが、政府のキャッシュレスポイント還元は原資が税金ですからね。よりスジの悪い鎮痛剤だ、と牛丼を食べながら思いました。

 

<続く>