国連総会に出席した安倍総理は、米国トランプ大統領と何度目かの首脳会談を行い、「日米貿易協定」に署名した。茂木外相が経在担当大臣だったころから米国のライトハイザー通商代表と続けてきた交渉が、ようやく日の目を見るところまで来たということだ。(まだ両国での批准作業が残っている)
TPP並みの農産品規定や、自動車関税の先送りなどはいろいろなメディアに取り上げられていたが、僕が気になっていたのは「デジタル貿易」のこと。総理はインタビューに答え「デジタル貿易についても合意できた」と言うのだが、内容を確認するまでは安心できなかった。というのは今年のG20サミット後、「自由なデータ流通の国際的なルールづくり」をするとの総理の言葉があったものの、それはG20ではなく非公式会合での結論だったという「前科」があるからだ。
それが今日、「日米デジタル貿易協定」の内容がわかって、僕はほっと胸をなでおろした。
https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/fact-sheets/2019/september/fact-sheet-us-japan-trade-agreement
これがUSTRが発表した「日米デジタル貿易協定」のファクトシート。ポイントの部分を翻訳すると、
・ビデオ、音楽、電子書籍、ソフトウェア、ゲームなど電子的な送信による
デジタル製品に対する関税の賦課を禁止
・デジタル製品に対する無差別待遇を保証
・障壁のない越境データ移転を保証
・データローカライゼーション規制の禁止
・デジタル業者による革新的な暗号技術の自由な利用を保証
となっていて、TPP第14章電子商取引に示されたことに加えて、デジタルコンテンツの輸出入に関税がかからないこと、輸入コンテンツへの差別禁止、暗号技術の利用を保証する規定がある。思うに「大阪トラック」で目指すもののヒナ型がここにあるようだ。さて産業界もこの協定を十二分に生かせるように、努力しないといけませんね。