Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

大聖堂を眺めてディナー

 ケント大学での議論は、ロンドンから移動した日の午後から丸2日。僕が短いスピーチをするセッションは2日目の夕方だった。それが終わるまでは緊張していて、日英の有識者たちが英語で議論するのをただただ聞いていただけ。朝食も昼食も会議室隣のレストランで軽食をつまむのだが、正直味も良く分からない。
 
 しかし出番がなんとか無事に終わると、急におなかがすいてきた。明日の午後には多くの日本から来たメンバーがヒースローから帰国することになる。今夜が最後のディナーだ。大学までバスが迎えに来てくれて、まだ陽の残る街に向けてゆっくり降りていく。高台にある大学からは、カンタベリーの象徴たる大聖堂が垣間見えていた。今夜のレストランは大聖堂に直ぐ隣にあると聞いた。
 

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 7世紀、サクソン人のケント王国だったこの街にローマ教皇の使いがきて布教を始め、聖オーガスティン修道院を建てたのがここのキリスト教史の始まり。12世紀には現在の大聖堂が建立され、火災の復旧や改築などを経て現在に至っている。上記修道院を含め、これらの建物は世界遺産に登録されている。

 バスを降りると、古式ゆかしい石畳の道路。歩きにくいのは仕方がない。門番のいる小さな門をくぐるとそこに・・・大聖堂は大規模修繕中だった。工事のフェンス沿いに歩いてゆくと、今夜のレストラン「Canterbury Cathedral Lodge」の前に出た。ここでも直ぐにレストランに入るわけではない。入り口前の芝生の上で、好みのグラスをもらって立ち話。ワインは赤白とも地元のもので、ラベルにカンタベリー大聖堂が入っている。まずまず美味しいよねと呑んでいるうちに陽が傾いてきて、少し肌寒くなった。
 
 トマトや色とりどりの野菜にチーズを合わせたものが前菜、モッツアレラじゃなかったのが残念。これは白ワインでいただく。両隣が日本人だったのが、今となっては何よりうれしい。やがて出てきたメインは牛のスネ肉煮込みのように思えた。こちらは当然赤ワイン。緊張が解けているので、もう何杯呑んだか覚えていない。
 

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 ほろ酔い加減で帰るとき、あらためて大聖堂を見上げた。ライトアップされていて、修理中のところは夜が上手く隠してくれる。これはとても美しく見えた。もう二度と来ることはないだろうから、しっかり見ておきましょう。さようなら。