僕自身はインドへ行ったこともなければ、インド人の知り合いもほとんどいない。ただICT業界としては、30年以上前から付き合いのある国のひとつだ。南部バンガロールは早くからICT産業を誘致していて、日本の会社も開発などのアウトソース先として活用していた。当時は国内でのソフトウェア開発に比べてずっと安くできてしまうのだから、基幹部分や高品質を要求されるソフトウェアでなければ利用すべきだと思ったものだ。
日本だけではなく留学生を多く送り込んでいる米国や欧州諸国も、インド人の数学的能力を見込んで発注を増やしていった。シリコンバレーからインドに戻ったインド人起業家もいて、バンガロールは発展しそのような産業はインド各地に興るようになった。
その後もインドのICT産業は成長を続けていると聞いている。トランプ先生が外国人技術者に冷たいものだから、シリコンバレーからの帰国も増えているだろうし。そんなインドでは、当たり前だが格差が広がっている。この格差とは経済格差だが、この国には古来別の格差がすでに存在している。それが「カースト制度」、詳しいことは僕は知らず額に付けた色で見分けるらしいくらいの知識しかない。
社会が大きく変わるとき身分制度も変わることがあるが、その過渡期は大混乱する。明治維新の「廃刀令」に旧士族が怒ったのがその一例である。上位カーストは教育機会も多いだろうから新しい経済格差と旧来のカースト制度の間にある程度の相関関係はあろうが、当然こぼれる人は出てくる。いわばインド版「プア・ホワイト」もいるだろうなと思っている。