Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

石狩データセンター

 今のようなデジタル社会、インターネット経済の時代にとってはデータセンターは最重要インフラのひとつである。8年前の東日本大震災の時も、主要なデータセンターの停止は無く、被災者への情報提供なども含め立派に役割を果たした。昨年の北海道地震で、北海道全土が「ブラックアウト」したにもかかわらず、巨大データセンターは非常用電源で稼動を続けることが出来た。

 石狩地区は自然災害が少ないからここに立地したとのことだが、僕にも思い当たることがある。もう15年ほど前になるだろうか、霞が関関係者に呼び出されて行くと、IT/ICT関連産業の知り合いが大勢集まっている。会議のテーマは「北海道に新データセンターを作る」という構想だった。

 

 データセンターの環境指標PUE(Power Usage Effectiveness)で、日本のデータセンターが米国企業のそれに劣るということから、それに対抗する議論をしようということだった。ただGoogleのように、常時人はおらず空調も無い、温度が上がればセンター全部をシャットダウンするという荒業はできず、PUEで勝てる見込みは無かった。

    f:id:nicky-akira:20190414204038j:plain


 ただ比較的涼しい(寒い)北海道に置くというのは、あるべき議論。では自然災害はどうかというと、旭川エリアが一番地震に強いことが分かった。しかし旭川は電力供給が1系統しかないので不利な事もわかり、自然と立地は大消費地である札幌にも近い石狩地区に向いていった。僕はこの計画の実施にはタッチせずに済んだのだが、後日「石狩立地は出来レース、某与党代議士の地元」とのウワサが聞こえてきた。

 なにはともあれ、その時議論したデータセンターが当時は予期しなかった「全北海道ブラックアウト」にも耐え任務を全うしたのはすばらしいこと。すでに亡くなっている某代議士も、草葉の陰でお喜びでしょう。