Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

いよいよ合意なき「Brexit」へ

 しぶとい女傑メイ首相も退陣して、後任に選ばれたボリス・ジョンソン元外相。なんとなくミニ・トランプのような風貌で、良く分からない英語をしゃべり周囲を煙に巻いている。先月彼が決定を下したのは、10月中旬まで5週間もの議会の閉鎖である。もともとイギリスは議会の権力が強く「議会制民主主義」の国という人もいる。10月末のEU離脱期限まで、その強力な議会を封じ込めようという「ジョンソン魔術」である。

 議会が開かれていれば、合意内容を練り直すことまでは無理にしても、離脱期限の延長を定める法律くらいは出来たかもしれない。有識者に聞いたところ、この後4つのシナリオが考えられるという。

◆離脱時期延長
 今週末までは議会も開いているから、その間に延長法案が可決されてしまう可能性はある。また閉鎖後も議会の再開から期限まで2週間しかないのだが、それでも周到に根回しすれば1週間+αで「離脱期限延長の法案」を可決できる可能性は残っている。もちろん、首相がさらに議会に対して妨害行為をしないという保証はない。

◆内閣不信任
 新首相の「なにがなんでも離脱」の姿勢や、今回の議会閉鎖は憲法違反だとの指摘もあって、内閣不信任決議がなされる可能性はある。その場合は暫定内閣ができるか総選挙だが、これだと10月末の期限はきてしまう。

◆合意ある離脱交渉の成立
 可能性は否定しないが、難しいように思う。

◆合意なき離脱
 この可能性が一番高いことは、否定できない。この有識者も以前から合意なき離脱の可能性50%と言っていた。

 

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 すでに多くの金融機関はイギリスから脱出してフランクフルトなどに軸足を移しているが、そのドイツだって景気後退の気配が濃厚だ。加えてアイルランドの国境問題もある。正直何が起きるか、五里霧中だ。そんな中、僕はこれから仕事でイギリスにいくのだが、本当に何が起きているか見てきたいと思う。

 

 荷造りをしていて気づいたのだが、イギリスのプラグの形状がドイツなどと違っている。あわててプラグコンバーターを入れ替えた。やっぱりイギリスはEUの中では特殊だったのだと、改めて思う。銀行で両替したポンド札の女王の肖像が笑っているのが、いかにも皮肉っぽいですがね。