Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「デジタル課税収入」の使い道

 今年のG7サミットは、始まる前から不協和音がひどい。せっかくバスク地方の美食どころビアリッツで開催されるのだから、もう少し融和ムードは欲しい。開催前に議長国フランスのマクロン大統領が、「今回は首脳宣言をしない」と異例の決定をくだしている。まあ、頑張ってみたところで「首脳宣言」にたどりつける公算は高くなかったから仕方ないことかもしれない。

 

 さらにトランプ先生は、「サミットは時間の無駄」と行くことを渋り、側近に説得されていやいやフランスに向かったらしい。確かに大統領選挙に向けて忙しい今、「時間の無駄」ではあるが、そのような事態を作ったのは先生ご自身ではないかと思う。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019082400258&g=int

 

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 似たような雰囲気はもちろん今年のG20にもあって、議長の安倍総理は「忍の一字」でとりまとめをしたと政府関係者はいう。参加国が少なければよりとりまとめ易いはずなのだが、逆に対立が尖鋭化したみたいだ。要するに欧州諸国と米国の間で、

 

 ・イラク問題

 ・環境問題(アマゾン火災など)

 ・貿易(の自由)問題

 

 の対立が大きいのである。これに加えて「デジタル課税」の問題もとりあげられるらしい。欧州各国は、GAFA(+M?)といういわゆるプラットフォーマーからちゃんと課税したいと思っている。ただプラットフォーマー側にも言い分はあって、EU域内全般にサービスはするが欧州での本社は税金の安い国(例:ルクセンブルグ)においてその国だけに納税している。EUの理念からして、どこかに納税すりゃいいだろうと主張する。

 

 対するトランプ先生だが、実はあまり興味がない。デジタル分野は彼の票田とは関係がないし、彼にはプラットフォーマーの意味がわかっていないだろうから。議題として取り上げられるだろうが、それほど深い議論にもなるまい。

 

 しかしG7という枠組みも色あせてきたことと、コスモポリタンであるプラットフォーマーにどの国が課税できるかという課題を組み合わせると、一つの可能性が出てくる。例えばプラットフォーマーの全世界での収支を見て、これにG7が課税すると言うのはどうだろうか。G7はずっと持ち回りで、各国予算で運営しているはず。これを国連より参加国の少ない機関を作って運営をゆだね、その予算をプラットフォーマー課税で賄うというもの。もちろんプラットフォーマーと認められた企業は、各国では免税される。

 

 暴論かもしれませんが、せっかく主要7カ国の首脳が集まるのだから、そのぐらいの議論はしてほしいものです。