Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デジタルとアナログの境目

 技術革新とそれによるビジネスモデルの変遷が激しいIT業界で40年近く生きてきて、いろいろな企業・組織・技術・技術者たちの盛衰を見ることができた。比較的大きな企業の中でのライフサイクルとして、技術・カネ・人脈と時代によって重要なものが変わってくる。

 
 それとは別にこの40年、IT屋としてどの分野が生き延びやすかったかという話である。僕が就職したころにはコンピューターサイエンスの学科は多くなく、また大学(院)の研究と企業の研究にレベルとして大きな違いが無かったことから、新卒即戦力の可能性は現在よりは高かったように思う。
 
 それでもそれなりの人数が入社してくるから、その間の競争は激しいといえよう。リアル世界とデジタル世界というデジタルツイン型モデルを考えてみると、リアル(アナログ)世界そのものは、IT屋の出る幕は少ない。医療・製薬・介護・健康管理などヘルスケア分野を例にとってみても、専門の事業者・研究者がいてその知識や経験がないと口を出すのも難しい。
 
 完全にデジタルになってしまってからは、その業界のデータをどう並べ替えるか、どう計算するか、それをいかに効率的にやるかなどIT屋は主役を演じることも出来る。しかしこういう仕事をしたい技術者は一杯いる。そこで着目されるのが、デジタルとアナログの境目の仕事。単純なD/Aコンバーターというデバイスのことではなく、センサーやコンバーターをどう使えば役に立つアナログ世界の情報をデジタル世界に移し替えるか、もしくはデジタル世界で得た結論をアナログ世界にフィードバックするかは必要な仕事でありながら技術者は多くない。
 

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 最近ITとOT(Operation Technology)両用の技術者が必要だなどと言われるが、これも境目の技術者と思ってもらっていい。先日は都内某所で、クルマの内部を標本のようにタテワリにして展示したものを見つけた。自動車の知識の少ない僕には物珍らしい風景だった。そう自動車のインテリジェント化や自動運転などをしようとすると、どうしても「境目の技術者」が大勢必要になる。これから業界で生きていく人たちには、難しいことも多いけれど是非こういう分野に挑んで欲しいものです。