Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

サイバーセキュリティ産業の活性化(後編)

 そこで経産省は以前から、「日本のサイバーセキュリティ産業育成」を掲げて、研究会などを開いていた。3〜4年ほど前だったろう、古参のセキュリティソリューション企業の社長を座長に据えて、「日本発のサイバーセキュリティソリューション」を議論し始めたのだが、委員として出席していた重要インフラ企業と大手製造業のCISOが口をそろえて「セキュリティソリューションは国際標準のものしか使えない」と言って、事実上この研究会を閉じてしまった。後日その社長さんは政府の「未来投資会議」で「日本のセキュリティ」を説明されていたのを拝見したが、以来お会いしていない。

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 サイバーセキュリティの脅威は当時とは比較にならないくらい高まり、経産省は現在も大物を集めた「産業サイバーセキュリティ研究会」を運営していて、その傘下に

 ・Working Group1(制度・技術・標準化)
   Sub Working Groupが3つ「分野横断、ビル、電力」
 ・Working Group2(経営・人材・国際)
 ・Working Group3(サイバーセキュリティビジネス化)

 があり、しっかり産業振興がテーマに揚がっている。ここでの議論がどうなっているかは不明だが、基本的にサイバーセキュリティ「市場」が大きくなれば国内の産業にもチャンスがあるし、日本市場が伸び悩めば国内産業は厳しいと思っていた。どうしても日本企業は日本市場で実力をつちかってから、世界に打って出る性向が強いので日本市場の大きさは重要な成功要因なのだ。ただ欧米の企業より日本(のユーザ)企業のサイバーセキュリティ投資比率は高くないので、なかなか難しいだろうと思っていた。しかし、株式ニュースを見ていて「人気テーマランキング」にサイバーセキュリティが7位でランク入りしたと聞いて驚いた。

https://minkabu.jp/news/2445477 

 1位:半導体、2位:半導体製造装置、3位:人工知能・・・らについでのランクインは期待を持たせるものだ。この記事には関連銘柄も7社紹介されていて、僕が知っている会社も2社はいっていた。株価は6ヵ月先の業績の先行指標だと、昔証券会社から聞いた記憶がある。サイバーセキュリティ産業の人気度が上がり、その後株価が上がり、半年〜1年後にその業績も上がることになれば、社会全体のサイバーセキュリティ対策も充実してくるかもしれない。その結果この産業が活性化し、より技術やソユリューションのレベルを高められる、うまいスパイラルになってくれればいいのですが。