Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

放送と通信の融合(公共放送編)

 どういう事情なのか分からないが、「情報通信法学研究会」の案内がやってきた。こういう会合があることも知らなかったのだが、れっきとした総務省の外郭団体「情報通信政策研究所(NICT)」主催の研究会なのだそうだ。情報通信政策に関わる内外の動向を調査し、主に法学の見地から政策の方向性を検討するのが目的という。研究会の葉4つの分科会、

 

 ・データ法分科会

 ・通信法分科会

 ・メディア法分科会

 ・新領域分科会

 

 がある。今回案内が来たのは、メディア法分科会で議題は「ドイツにおける公共放送のオンライン・コンテンツと法規制」だった。放送と通信の融合ということが言われ始めて20年近く、ようやくそれが普通のことになってきて諸制度がついてきていないのは事実だ。「N国党」のスクランブル放送にして見たくない人からは視聴料を取るなという主張もあるが、TVコンテンツをインターネットで同時配信すればTVはモニターとして使ってコンテンツはインターネット(&PC)で見る人も増えるだろう。これに関しては、旧ブログでコメントしたこともある。

 

https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/06/09/140000

 

        f:id:nicky-akira:20190810110636j:plain

 

 その時話題となっていた、スマートホンやPCを受像機だとして視聴料対象にするというのも無茶な話。だから公共放送がコンテンツをインターネット配信するには、何らかの制限がかかるはずだ。今回の議題では、ドイツが公共放送にどのような制約を課しているかを聞いて国内の方向性の一助にしようというものらしい。

 

 ドイツでは受像機(PCではなくTV・ビデオ等)の購入時に必須の形で公共放送契約が付いてくるようで、日本のNHK料の未納が20%近いのに比べて未納は10%もないというのが特徴。公共放送(ARDやZDF)は、国営ではないから税金は投入されていないが、広告が頼りの民間放送よりは財政的優位性があるので、民業圧迫は戒められている。そこで、ドイツの規定では、オンライン・コンテンツ配信をしていいかどうかの判断を「評議会」が三段階でテストする手法をとっている。

 

 第一段階:公共放送が行うべき業務であるか。

 第二段階:質的な編集上の競争に寄与するか。

   (要は民業との健全な競争かということ)

 第三段階:費用規模の適正性や財政的透明性があるか。

 

 これはイギリスでも似た手法らしく、今後のNHK改革論に大きく関わってくるように思う。写真はその日総務省1階ロビーで出会ったロボット警備員さん。何かの実証実験だろうが、総務省もちょっとは遊びごごろが出てきましたかね。