Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ITシステム、2025年の崖(後編)

 ユーザー企業が自前で作ったアプリケーションプログラムが言語やOSが古くなって使えなくなるだけでなく、世界標準と思われたアプリケーションまでが使えなくなってしまうのだ。経産省は企業経営者に警告しているのだが、現時点では誰も困っていない企業が多く、戦略的なシステム刷新をしようという企業は多くない。

 

 社内にはそういう警鐘を鳴らすIT部門長もいるのだが、その声が正しく経営層に届かないという。しかし時間は無情に過ぎていて、2025年になると基幹システムが導入されてから21年以上経過してしまう企業(多分大企業だろう)が60%を超えると経産省はみている。

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 ではどうすればいいのか、経産省の案では情報資産(デジタル・アセット)の現状を評価・分析して4つに分けろと言っている。

 ・必要な機能は、クラウド上で再構築
 ・新たに必要な機能は、クラウド上に追加
 ・不要な機能は廃止
 ・あまり使われない機能は「塩漬け」

 まあ基本スタンスとしてはこんなものなのだろうが、廃止と言われると騒ぐ部署は必ずある。「塩漬け」はいいけれど、結局クラウド上に再構築することになったら、整理した意味がないと言うことになりかねない。結局ポイントは、現状の自社の業務分析が先だろう。極論を言うと、多少の売り上げがあっても組織があっても、その部分を他社に委譲(売り払うこと)してでも整理すべきである。ではどれを売り払うのかといえば、企業の経営戦略「自社はこれから何で喰うのか、どの部分でNo.1になるのか」がはっきりしていないとその判断もできないだろう。

 経産省の説明は正しいとは思うのだが、まずは経営戦略、次に事業の整理、そしてようやく業務の整理・・・システムの整理や再構築という手順を最初の2つを省いていることを企業人としては知っておくべきだ。さあ、2025年の崖に向けて経営戦略の練り直し、どうしますかね。