Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ITシステム、2025年の崖(前編)

「IT業界のサグラダ・ファミリア」と揶揄され、なかなか完成しないITシステムの代名詞だったみずほ銀行の基幹システムの改修がようやく終わったそうだ。20年前の合併時第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が一緒になったのだが、基幹システムのベンダー企業が全部違っていたというのが問題を20年間引っ張ってしまった主原因と報道されている。思い切ってどこかのシステムに片寄せしてしまえば良かったと後知恵で思っても、当時慣れてしまったシステムを捨てて別システムを一から勉強・・・なんて現場には到底不可能だったと思う。

 本来A銀行、B銀行などと呼称していても、実は業務の実態は「日銀A支店」や「日銀B支店」と言ってもいいくらい似ている。かけ離れているほうがおかしいのだ。それでも(大きな銀行ほど)独自色を如何に出すか知恵を絞った。ATM(現金自動預け払い機)の取り扱い停止表示をするにも、A銀行が機器の右上に赤く「お取引中止」と表示すれば、B銀行は機器の左上に緑で「取引停止」と示すくらい徹底していた。(利用者にとっての意味はほとんどない)

 

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 それほど業務の似ている業界でも、従来型システムの統合は難しいことをこの例は示している。それでは他の業界はどうか?経産省が「2025年の崖」対応を唱えていることは知っていたが、担当官から話を聞く機会があった。同省の問題意識は下記である。

・世界的にデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流が来ているのに、日本企業がそれに乗り遅れるのではないか。


・約70%の企業が、DXをやりたくても既存システムが足かせになっていると思っている。


・現実に既存システムの運用や保守に、IT投資の約80%を持っていかれていて、「攻めのIT投資」に回せるカネがない。

 

Windows7は2020年にサポート終了、SAP-ERPも2025年に終了するなど従来システムが使えなくなる日が近い。

 

<続く>