Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

香港と台湾の連携

 香港の「逃亡犯条例改正」をきっかけにした香港市民の蜂起が止まらない。香港の行政長官は当該条例を当面採決しないことを表明したが、市民にの怒りは収まらない。さらに行政長官は辞任したいようだが、バックにいる習大人がそれを許さない。結果として事態は膠着し、ひょっとすると「香港の天安門」などと言う事件に発展するかもしれない。

 

 いわゆる香港返還から足掛け20年、僕らがなんどか訪ねた香港ではかなり中国本土の影響はあるもののイギリス支配時代の匂いは十分にした。ただ行くたびに中国本土の資本流入が目立ち、深センとの国境に近いエリア(新開地)の開発が進み、深センの都市としての巨大化もあって独立性に影を落としていたのは確かだ。

 

 習政権はイギリスの策動を非難しているが、香港のこの中国排斥運動は香港市民の思いがほとんどの原因だと思う。ただこのまま習政権が黙って手を引くとも思えず、何かの事変に発展する公算は相当ある。そんな時、本当に本土政権ににらまれている人は命の危険にさらされるだろう。それにてを差し伸べたのが台湾政府。どのような形かは別にして、彼らを支援するという。台湾としても海峡の危機が増している現状では、香港の危機感を直接話してくれるひとの来援は歓迎だろう。

 

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 香港情勢が影響してだろうが、来年の台湾総統選挙の予備選で鴻海の郭会長(台湾のトランプ?)が敗れる波乱があった。もちろん郭会長に勝った野党候補も「親中」なのだが、郭会長の露骨な中国への傾倒が嫌われたらしい。当然現政権は反中国なので、香港を支援して中国の非道をナマの声で話させたりすることはやりたいと思うだろう。

 

 今年初めて公式に台北に行き、政府関連機関とサイバーセキュリティ対策の議論もした。背景にAPTなど中国の高度な攻撃力を持つサイバー攻撃部隊が、来年の総統選挙などに介入してくる危機感があったと思う。「一国二制度」を受け入れれば、香港のようになるとの危機感が高まっている。ただまだ選挙まで1年あるし、選挙は水ものである。今後どうなるか、見守っていく必要があるだろう。