Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

戦争の足音が聞こえる中で

 米中貿易摩擦は、昨年のうちに「貿易戦争」の領域にまで入っている。貿易に限らず、サイバー空間での戦争も徐々に表に出始めた。昨年末には、中国政府の息のかかったハッカー集団APT10のメンバー2名を米国司法省が訴追している。今年になって、APT10が経団連への攻撃をしたとの報道もあった。南シナ海では、米国海軍が「航行の自由作戦」を行って中国の海域支配にくさびを打ちこもうとしているし、台湾海峡を中国の空母がこれ見よがしに通ることもある。正直なところ、偶発的な衝突が起きる可能性を否定できない。

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 米中に限らず、世界を見渡せば紛争のタネは一杯ある。シリアは泥沼のままだし、イラクアフガニスタンの危険性も変わっていない。サウジアラビアイスラエルを含めた中東情勢も流動的、イランに至ってはいつ米国と紛争がおきてもおかしくない。むしろ北朝鮮が「平和国家」にみえるくらいだ。
 
 
 そんな中、米国の軍事技術の専門家が「未来の戦争」を考えて、米国のプレゼンスを憂えた書が出たとの記事があった。著者が憂慮する理由は2つあって、
 
 ・AIやロボットなど軍事技術が発展しすぎて、多くの人の理解を超え始めた。
 ・ベトナム戦争以降、米国市民の間に戦争を忌避する考えが広がり、軍事に関する関心が低い。
 
 この記事に言うように、今では純粋な軍事技術というのはほとんどない。ほとんどは軍民両用の技術であって、高度な技術者でないと制御できないものも多い。一般的に軍人は軍事知識はあっても技術は理解できない。一方民間の技術者は技術は理解できても、軍事知識は十分ではない傾向はある。

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 これは避けようのない事態だし、今後もより大きくなる課題だ。世界一の軍事大国でもこのような危惧をしているのだが、日本に至ってはほとんど「軍事知識」を持った人がいない。そういうことに関わることすら忌避される傾向にある。僕は特定の思想に偏った人間ではないつもりですが、一般市民の軍事知識向上は考えるべき「教育課題」だと思います。