Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

戦車の役割

 戦場を機関銃が支配して、生身の歩兵には突破できない「弾幕」をはるようになったことを以前紹介した。それに対抗して、AFVというものが開発された。機関銃弾に傷つくことなく、低速・短射程の榴弾(37mm~)で機関銃座を制圧するのがその主任務だった。
 
 皮肉なことだが、歩兵にとっての次の脅威はこのAFVになった。前回紹介した3号突撃砲B型のような例は別にして、機関銃を装備しているしもちろん主砲もある。逃げても追いかけてくる、機関銃座・砲台というわけ。であれば、AFVに対抗するにはAFV、という考え方も出てくる。AFVに与えられた次の任務は、AFVから歩兵を守ること、AFVを駆逐することになった。

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 ドイツ軍を例に、第二次大戦中のAFVの進化を見てみよう。右から順に、
 
◆2号戦車F型
 兵装:主砲20mm機関砲、同軸(主砲のわきにあって同じ方向を向いている)機関銃(火力5)
 装甲は極めて薄い(正面3・側面他1)
 移動速度:14ヘクス/ターン
 
  最も初期のもので、フランスを降伏させた「電撃戦」までは主役を務めた。敵のAFVを駆逐することは、20mm砲だけでは容易ではなく、速力を生かして敵後方に回り込むことになる。側面もしくは後面なら、20mm砲でもAFVを破壊できるかもしれない。3号・4号戦車が増えてくると、偵察用に使われた。ドイツ軍では、車載無線機は充実していた。
 
◆3号戦車H型
 兵装:主砲50mm、車体機関銃(火力3)、同軸機関銃(火力5)
 装甲はやや厚い(正面6・側面他3)
 移動速度13ヘクス/ターン
 
  大戦初期から中期の主力戦車。50mm砲なら、初期のAFVは破壊できる。もちろん、機関銃座に対しても相応の 破壊力がある。機関銃も充実していて、2個分隊程度の火力がある。装甲が厚いのは、敵に接近した戦闘を想定しているため。
 
◆4号戦車D型
 兵装:主砲短砲身75mm、車体機関銃(火力3)、同軸機関銃(火力5)
 装甲は薄い(正面3・側面他2)
 移動速度:14ヘクス/ターン
 
  3号戦車の支援用に開発された。50mmでは破壊できない目標(例:石造建物に立てこもる敵兵)を相手にするために75mm砲を装備している。機関銃も3号戦車と同等。近接戦闘を想定せず、装甲は薄い。
 
◆4号戦車H型
 兵装:主砲長砲身75mm、車体機関銃(火力3)、同軸機関銃(火力5)
 装甲は厚い(正面8・側面他3)
 移動速度:13ヘクス/ターン
 
  4号戦車の最終量産型で、大戦中期以降の主力戦車。敵AFVを破壊できるよう、威力を増した75mm砲を装備している。対機関銃座はもちろんだが、対戦車戦が主目的になってきた。当然、装甲も厚くなった。
 
 ドイツ軍戦車は、このように進化してきた。機関銃や速度の仕様がほとんど変わらないのが特徴的だ。4号戦車H型が一応の完成形であり、ドイツ軍の「軍馬」となった。