台北中心地から40分ほど、淡水信義線に揺られて淡水河を下っていくと終点の淡水駅に着く。地下鉄ではあるが、中心地を抜けるとすぐ地上に出て、ながめもまずまず楽しめる。特に河口近くなってくると川幅が広くなり、視界は360度ひらける。
台湾島の北東の端であり、大きな川の河口ゆえに古くから港町として栄えたようだ。今でも「金色海岸」の名前がついている。日本語と一緒の文字なので(発音されない限りは)よくわかる。対岸には、港湾特有の荷揚げ用のガントリー・クレーンもみることができるが、こちら側は観光地になってしまっている。お土産物屋や立ち食い用の屋台、レンタサイクル店などが並んでいる。
その合間に、寺社やフェリー乗り場などがぽつりぽつりと存在している。騒がしい繁華街を避けて、川沿いの小道をあるいてゆくと、スコットランド系カナダ人宣教師が上陸した場所に記念碑が立っていた。中心街に「馬楷記念病院」というのがあるが、そのマッケイという宣教師兼医師の名をとっているようだ。
駅から30分余りぶらぶら歩いてゆくと、小高い丘の上に赤茶けた古い建物がある。これが紅毛城。セント・ドミニカ城とかアントニー要塞と呼ばれた古い城で、スペイン人が立てたものをオランダ人が改修し、イギリス統治時代にも河口ににらみを利かす要塞として(おそらくは税関として)機能していたらしい。