小学校高学年にころ、やたらと乗用車に詳しい同級生がいた。マンガもうまくて、いろいろな自家用車のちょっとデフォルメした絵をかいて見せてくれた。いわく「日産はxxがいいけどデザインが・・・トヨタは丈夫が取り柄だが・・・」などとのたまう。同級生たちのうちでも富裕層の家庭では自家用車を持っていたが、僕のうちはそこまでは行かずようやく中学生になって、親父が軽自動車を買った。
その記念すべき初号機が「スズキ・フロンテ」、排気量350ccほどで今から思うとオモチャのような代物だった。もちろん口には出さなかったのだけれど、僕が欲しいなと思っていたのは同じスズキのジムニーという四輪駆動車。値段も覚えていないが、軽自動車の中では高かったはずだ。
なぜ欲しかったかというと、米軍のジープに似ていたから。アイゼンハワー将軍は第二次世界大戦の勝利に貢献した3大兵器として、ジープ・バズーカ・C47輸送機を挙げている。ジープは戦場をくまなく走り回り、負傷者搬送や小規模の輸送、将校の移動などいろいろな役目を果たした。
TVドラマで「Rat Patrol」という番組があって、北アフリカの砂漠を.50口径機銃を積んだ2両のジープが暴れまわるストーリーだった。ちょっとヤクザっぽいトロイ軍曹以下の米軍兵士と、装甲車にでも立ち向かっていくジープが印象的だった。だからそんなジープが僕のうちにあったらな、と思っていたわけ。幻に終わった僕のジープ体験だが、そのジムニーが4度目の大改装をへて人気を博しているとの記事があった。