Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

REAL-CYBER 戦争

 総選挙をにらんでトランプ・ペンス政権が「ゴラン高原占領を認める」などの援護射撃をしたせいもあろうか、与党リクードの政権が続くことになったイスラエル。強硬派で知られるネタニヤフ首相の続投となって、パレスチナの紛争は激化してゆくだろう。今の米国政権は以前にもエルサレムに米国大使館を移すなど、以前の政権ではやりそうもなかったことを平然とやっている。

 

 それでも、選挙の結果は与党圧勝ではない。イスラエル市民にも長引くパレスチナ等との紛争に批判的な人も多いようだ。本来もっと紛争に倦んでいるいるだろうパレスチナの人たちも、軍事力で優位に立っている相手が強硬に出るならあまり選択肢はない。半年前には「風船爆弾」のようなものを投入しているし、今月初めにはガザ地区ハマスが600発以上のロケット弾を発射したとの報道もある。

 

https://japanese.engadget.com/2019/05/07/israel-responds-to-cyberattack/

 

 この記事によると、それらに加えてサイバー攻撃(詳細は明らかにされていない)もあり、それにイスラエル軍が即時反撃したという。その反撃手段が、ハマスサイバー攻撃拠点を空爆したというもの。これには米国の有識者も「Cyber空間での攻撃に、Real空間で反撃するのはやりすぎでは」と言っている。

 

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 僕はサイバー攻撃でもリアル(世界)攻撃でも、敵意を持って相手にダメージを与えるように動けば、それは同じことだと思っている。ある軍事評論家は「現在の軍事行動の80%はCyber空間で行われている」と言っていた。それほどまでCyber空間での動きがReal社会に与える影響が大きくなっているのだ。

 

 ただ今回のイスラエル軍の行動そのものに、僕は疑念を持っている。普通サイバー攻撃は「逆探知」されないように複数のサーバー等を経由して行うし、攻撃は長い時間をかけて行われることも多く、「今、物理的にそこから攻撃されている」というケースは少ないと思う。「Kill Chain」という考え方があり、多くの段階を経てくる攻撃を、どこかで断ち切れば被害を抑えることができる。

 

 イスラエルは有力なサイバーセキュリティ技術・製品・ソリューションの輸出国で、自国の防衛に力が高いことがウリである。にもかかわらずCyber反撃ではなくReal反撃を選んだのはげせない。「空爆しちゃったんで、あとでサイバー攻撃受けたと言い訳した」なんてことだと困りますよ。