かつて1年のうち3カ月ばかりドイツに通っていたころ、現地で毎晩のようにビールやワインを飲み、ステーキやピッツアを食べ「German Size」の食事をしていたにも関わらず、体重に変化はなかった。若かったせいのもあろうが、やはり心身ともに消耗することがあったはず。
心身というが、この時の仕事も肉体労働をしていたわけではない。筋肉の方は、それほどカロリーを消費したのではないはずだ。僕のように英語の苦手なものは、やはり毎日の英語によるコミュニケーションが負荷になっていたのだろうと思う。その負荷というのはどこでカロリー消費をしているのかといえば、物理的には「脳」のはずだ。通常使っていない「英語用の脳細胞」が動いたことによるのではないかと思う。
担当したプロジェクトが終わり、ドイツ人と縁が切れてしばらくはその脳細胞は必要なかったのだが、何の因果か引退も近くなって国際会議に引っ張り出されるようになってしまった。それなりに準備をして同時通訳や逐語通訳が付くような場合はまあいいとして、ガチンコのマルチナショナル会議ともなると、全部英語でやってのけるしかない。半日こういうのをやると、1.0kg程度は体重が減ってしまうことが何度かの経験で分かった。家内は「英語ダイエット~」と揶揄するのだが、本人にとっては本当に大変。そしてこの現象は英語の時が顕著ではあるが、脳に負荷をかけた時には良く起きるのである。
先般ちょっとヘビーな国際会議でプレゼンとQ&Aにさらされ、一日置いて同時通訳はつくのだがマルチナショナルなパネラーを5名集めたパネルディスカッションの司会役をやるという羽目になった。パネルディスカッションは、日本側の企画だとかなり前から準備をしある程度のシナリオを作ってパネラーと打ち合わせをしておくことが多い。パネラーも最初のポジショントークでスライドを使うので、あらかじめスライドを貰うだけでも司会進行のやり方は見えてくる。