Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

75年前の賠償請求

 すでに決着していたはずの徴用工問題や慰安婦問題を掲げて賠償請求や資産差し押さえなどをしてくる困った隣人韓国だが、どうもそれは日韓関係だけのことではないようだ。第二次世界大戦投じのナチスドイツ侵攻によって与えられた被害を賠償するよう、ギリシア政府がドイツ政府に要求することが「正式に」決まったという。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041800333&g=int 

 いわゆる第二次欧州大戦の経緯については、アバロンヒル社のゲーム「第三帝国」で散々追体験したのである程度わかるのだが、中立を守れた数少ない国にはそれなりの理由がある。スイスはもちろん永世中立国、山岳地帯にしかるべき戦力を持っていたし実はドイツの隠れ同盟国でもあった。スウェーデンは鉄鉱石を産するなど魅力的な国土だが、沼沢地が多くバルト海という障壁もあって侵攻が難しい。ノルウェー側からは山岳地帯が天然の防壁である。

 これらに比べてギリシアという国は、クレタ島も持っているしバルカン半島の南端という東地中海を治めるには絶好の位置にある。連合国・枢軸国のいずれもがいずれは侵攻するべき国であった。もちろんそれはギリシアに住んでいる人たちの責任ではないが、沖縄に基地が集まってくるのと同じで「戦略眼」からは逃れられない宿命の地である。第二次欧州大戦は、ほとんどの国を巻き込んであしかけ6年かけて終結した。被害を受けたのはギリシアだけではない。

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 昨年第一次世界大戦終結から100年という式典があって独仏の首脳が「二度と戦争はしない」と誓いあったように、欧州連合として再々出発をし始めていたのだが、これに水を差すようなギリシア政府の決定である。このところようやく厳しい緊縮政策についての反発は収まってきた(もしくは水面下に潜んでいった)ギリシアだが、市民生活が苦しいことに変りはない。ともすればポピュリズム政策に陥りがちなリスクは十二分にはらんでいる。

 ありえないと思うがかりにドイツ政府が最大38兆円とも言われる賠償に応じたとすると、フィンランドはロシアに、ノルウェーはイギリスにアルバニアはイタリアに・・・賠償請求することになるかもしれない。ギリシア政府の決定が国内むけの人気取りポーズであって、実際に賠償を期待しているわけではないことを希望していますけれどね。