一時期はまるきりさびれてしまった熱海だが、このところ人出が大変多い。駅ビルも綺麗に改装されラスカとして開業、成城石井まで入っている。バタバタ潰れた老舗/大規模旅館も、大江戸温泉や伊藤園ホテルズがチェーン化するなどして多くは営業を続けているし、新しいタイプの宿(B&B)も増えている。
街中にもそこそこいいレストランはあるし、必ずしも旅館で2食付きと決めなくてもいいだろう。昨今はやりの「民泊」も、実数は不明だが増えこそすれ減るわけはないだろう。駅前には30階建ての巨大リゾートマンションも建っているのだが、やはり街の中心地は海に近い銀座通りから清水町に至るエリア。最近建て替えられた市庁舎や消防署の周りには、飲食店のほかスーパーマーケットなどの商店も多い。
駅から熱海港方面へゆっくり歩いて降りてゆくと、15分ほどで「熱海銀座」の入り口に出る。この四つ角の2つを占めているのが、老舗和菓子屋「ときわぎ」である。他の街にも同様の名前のお菓子屋があるが、資本関係等は不明だ。ただ、熱海の店は単独でホームページも持っているから別系統なのだろう。
創業は大正年間の1918年。そういえば市役所付近は、大正天皇の別荘があったところだ。体調のすぐれなかった大正天皇はかなりの時間をここで過ごしたらしい。皇族や爵位のある人たちも付近に別荘を構え、これが熱海の繁栄の第一歩だったかもしれない。